奥多摩・奥武蔵

とろっとした空気が全身にまとわりつき、まるで泳ぐようにして進む。あらゆる毛穴から絶え間なく汗が吹き出し、皮膚を伝って流れる。首に巻いたタオルを絞ると、雑巾を絞ったかのように汗が流れ落ちた。

尋常でない湿気だ。雨模様の大気は ...

中央アルプス日本二百名山

頭上には木々が生い茂り、足元は笹に覆われている。どこまで登っても同じ光景だ。経ヶ岳は木曽山脈の端に位置する独立峰のような山なので、里から登るとただひたすらに登りが続く。地味な急登だ。距離も長い。

いや、地味な山だってもちろ ...

八ヶ岳

やっと会えた。ずっと会いたかった花に。最盛期にはやや遅く、終わりかけではあったけど、なんとか待っていてくれた。

分厚くて艶のある硬質の葉が砂礫の地面に低く生え、その中心からまっすぐ伸びた花茎に青紫色の細長い花が無数に咲く。 ...

八ヶ岳

「さあ、行きましょう」

S子先輩はそう言って立ち上がると、ザックを背負った。

マジっすか!?

わたくしは心の中でそう叫んだ。D子先生も言葉には出さなかったが、そう叫んだに違いない。

星空 ...

高尾・相模湖

熱い…。開始5分で汗ダラダラだ。

朝寝坊して目覚めたら思いのほか天気が良かったので慌てて出てきた。きれいな青空が広がっているが、気温も湿度も高くて不快指数はだだ上がりだ。

遠くまで出かける時間ではなかったので、 ...

赤城・榛名ぐんま百名山

緑が深い。初夏の山だ。季節は確実にひとつ進んでいる。

岩に登ると視界が開けた。うねるように連なる緑の山々に、特徴的な岩がぽつりぽつりと浮かんでいる。

だれもいない。静かだ。山と岩と自分だけ。

いくつ ...

日光・那須

宇都宮で一泊(もちろん車中泊)した翌朝、特に用事も行く当てもなく、あとは帰宅するだけなので時間はたっぷりある。やや曇ってるけど雨は降りそうにない。帰る前に、どこか軽く登っていこうかと地図を眺め、宇都宮市北西部の古賀志山へ向かった。

日光・那須日本三百名山

女峰、小真名子、大真名子、男体、白根、尾瀬、燧。ぐるっと一周、360度の展望だ。

天気予報は良くなかったが、早朝ならワンチャンあるだろうと峠まで車で上がり、ところどころ雪の残る急登を急ぎ足で登って小太郎山まで来た。来てよか ...

西上州ぐんま百名山

長野県の30座、山梨県の12座に次ぐ、11座の百名山を有する群馬県。
長野や山梨ほど一般的には認識されてないが、群馬も立派な山岳県なのだ。

3000m峰の居並ぶ長野山梨とは違って、群馬県最高峰は標高2587mの日光 ...

北アルプス

山が光ってる。冷たい空気が心地よい。

こんな素晴らしい日は年に何回もない。いまここにいて、この景色をのんびり眺めてるというのは、なんとも幸運なことだ。

今日は山には登らない。早朝のバスで上高地に入ったが、目的地 ...