365日目の登頂 – 祖母山
ガスっているが、山頂まで行っておこう。
尾平登山口から九合目小屋まで登り、薪ストーブの暖かさに腰が重くなりかけたが、意を決して外へ出た。
ちょうど一年前、2019年1月1日の早朝に、電波も入らない山奥の登山口で ...
強風の雪山と雪のない冬山 – 阿弥陀岳 / 入笠山
強風に煽られ、ザックごと体を持っていかれそうになる。岩陰に体を潜めて風をやり過ごした。飛ばされたら落ちる。慎重に行かねば。
樹林帯ですでに風は強かったので覚悟していたが、森林限界を超えてからは、遮るものなく強風に曝されてい ...
冬桜と秋晴れの山 – 城峯山
集落を抜けて舗装路を歩いていく。
もう終わってるだろうと予想してた冬桜は、わずかの花を残していた。
大雨を降らせた台風19号の影響で、集落から先はどの道も車両通行止めになっていた。
崩壊した舗装路を ...
天空のショー – 辻山
鳳凰三山には何度も登っているし、夜叉神峠にも南御室小屋にも立ち寄ったことはあるが、この間の区間は歩いたことがない。正確に記すと、夜叉神峠と苺平の間だ。南アルプスフロントトレイルの中で、まだ繋がっていない三区間のひとつである。ここを繋げ ...
その答えは風の中さ、風に吹かれてるのさ – 丸盆岳
空は青空、風は優しく、登山道は快適だ。それなのに気分はふさぎ、心はざわついている。
出発前の金曜日に、とても腹立たしく悔しく許しがたい出来事があった。その気持ちを引きずったまま山を登っている。
本来なら、山を愛 ...
ああ諸君よ、諸君はこの颯爽たる、諸君の深南部から吹いて来る、透明な清潔な風を感じないのか – 不動岳
開始早々から、ふざけた急登だった。林道のわきからいきなり急斜面の直登が始まり、どれだけ登っても終わりがない。ときおり傾斜が緩やかになってホッとするも、すぐにまた急な登りとなってしまう。
矢筈尾根は厳しい登りだった。登るには ...
秋の終わりと冬の始まり – 西吾妻山
ふぅ、さすがに飽きてきた。
一切経山を下り、五色沼と家形山を越えて縦走路に入ると、展望はまったく無くなった。日の光は背の高い木々に遮られて薄暗い。雲の切れ間に太陽が現れても、縦走路の地面までは届かない。土は湿っぽく、ところ ...
冷たい瞳 – 一切経山
風が強い。油断してると体を持っていかれそうだ。赤茶けた砂と岩の山頂には、生命の気配がない。眼下の五色沼は、厚い灰色の雲に覆われた空を映している。
この五色沼、と言うよりも魔女の瞳という通称のほうが知られているだろうか、ここ ...
秋の終わりの秋晴れの山 – 日光白根山
ロープウェイの駅を出ると、ぽこぼこぽこと丸い三つのデコボコピークが正面に見えた。あれが奥白根山の山頂だ。
写真ではよく見る眺めだが、実際に目にするのは初めてである。何年か前に登ったのは北側の菅沼登山口からであり、こちらへは ...
歩くよりも3倍速い赤い彗星号、上高地へ行く
GWに一棟借りして宴会をした上高地のキャビンに、この秋、再び集合することになった。
他のメンバーは金曜から有給を取り、観光したりどこか登ったりしてから行くというたいへんけしからん境遇だが、わたくしは土曜の朝に出発である。金 ...