群馬の低い山と栃木のおっ切り込み – 栗生山

登山の翌日の山登りシリーズ、今回は袈裟丸山の翌日に栗生山に登った。「くりゅうさん」と読むらしい、今知った。場所は群馬県桐生市になる。

なぜ、この山を選んだかというと、桐生と足利の境界近くの山間部にある食堂で、この季節にしか食べられない天然きの子入りおっ切り込みが食べたかったからである。10年ほど前に食べて、その味がずっと忘れられなく、いつか再訪したいと願ってたのだ。午前中にちょろっと登って、風呂に入ってから食事に向かうのにちょうど良い位置と標高である。名前を聞いたこともない低山に登るのは、こんな機会でもないとなかなか無い。

山の懐まで、細くて急な道を車で入り、杉木立の中の日の当たらない神社に駐車して、登り始めた。

規則正しく並ぶ植林された杉林の間を30分も登ると稜線に出た。落葉樹の稜線は赤や黄色の葉を透かして日の光が注ぐ。

展望はないが気分はいい。

すぐに山頂に着いた。

山頂も木々に囲まれていたが、これはこれで悪くない。誰も登ってこないので静かだ。

まだ時間は早いから、下降点までもどっても下らずに、その先の稜線を歩いてみた。双耳峰のようにこちらもピークになっているようだったので、そこまで行ってみることにした。

登山道があるわけではないが、多少は踏まれて歩きやすくなっている。

こうやってひとりで気ままに遊んでるのは楽しい。楽し過ぎて人付き合いが億劫になるのが難点ではあるが。

計算通りの時間に下山し、風呂に入ってから、昼前に件の食堂に到着すると、駐車場は満車で、店外で待ってる人もいた。

以前はおばあちゃんがひとりでやっていて、客はぼくひとり、後はおしゃべりしに来ただけの近所の人しかいなかったのに、いまでは何人ものアルバイトがせわしなく働いている。まったく10年も経つといろいろ変化している。

せっかくだし、今回は絶対に食べるという強い意志があったので、駐車場が空くのを気長に待ち、入店するのをしばし待ち、おっ切り込みが煮込まれるのを首を長くして待った。

天然きの子の出汁が出たおっ切り込みは、腰が抜けるくらいに美味しかった。このきの子汁は、他のものには例えられない美味しさだ。

また秋になったらここに来よう。その前に春には山菜の天ぷらを食べに来ようかな。

こうしてまた行きたいなと思う場所が世界中にあるのは、幸せなことだなと思った。