大雪後の会津若松
雪の多い冬だった。
二日前に大雪の降った会津若松市内も、表通りはいちおう除雪が済んでいた。とはいえ大量の雪の持って行き場がないのか、道路の端に寄せられた雪が車線を塞ぎ、片側二車線道路が1.5車線になっている。
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奥琵琶湖、陸の孤島 – 菅浦
南北に長い琵琶湖の最北端、岸から細長く突き出した岬の先端部に菅浦の集落はある。眼前の湖と背後の険しい山々に囲まれたわずかな土地に民家が密集している。
湖に近い家屋は前面が石垣で守られ、入江には大型の防波堤が築かれている。湖 ...
琵琶湖の北の宿場町 – 木之本
平入の町家やうだつの上がる家、洋風建築に昭和の商店が入り混じって賑やかな町並みだ。
町には三軒の醤油醸造所と二軒の造り酒屋があって、歴史の古さを物語っている。
琵琶湖の北に位置する木之本は地蔵院の門前町として町 ...
湖北のおはなし
新年早々、一部界隈に衝撃が走った。あの井筒屋が駅弁事業から撤退するというのだ。
井筒屋というのは米原にて駅弁を製造販売する企業で、井筒屋の「湖北のおはなし」は駅弁界を代表する逸品である。創業は安政元年、元々は長浜船着場の旅 ...
今は昔 – 加世田麓
薩摩藩で「麓」といえば、それは山の麓ではなく麓集落のことだ。
武士が人口の4分の1を占めた薩摩藩では全員を鹿児島城下に住まわせることはできず、藩士は藩内の各所に分散して居住した。そんな集落のことを麓と言い、その数は120余 ...
鹿児島で酒を呑む、南国鹿児島には旅情があふれていた
鹿児島まで来ると南の国に来たなあって感じる。なぜだろう? カラッと晴れた穏やかな気候がそう思わせるのか、それとも広く開けた空の解放感のせいだろうか。とにかくここには他の街では感じない南国の空気が充満している。
そしてなんと ...
ちょうどぴったり11年ぶりの桜島
桜島は今日も海に浮かび、白い噴煙を上げていた。
鹿児島に来るのは3回目?4回目かな? 毎回いつでも桜島が見えているのは、考えてみたら幸運なことだ。前回来たのはいつだったかなと調べたら、ちょうどぴったり11年前、2014年1 ...
2025年1月1日の朝
東の空が明るんできた。
空の色は漆黒から紫紺、そして深藍へと移ろいゆく。まもなく夜が明ける。
そういえば今日は元日だったな。
あけましておめでとうございます。
静かな大都会熊本、馬刺しを探してさまよい歩いた夜
熊本は大都市だ。九州内では福岡、北九州に次ぐ規模を誇る。
だが、九州第三位の大都市にもかかわらず熊本駅前は閑散としていた。交通量は極端に少なく、片側二車線の駅前通りを走る車は数台ぽっきりだ。人通りもほとんどない。閑散としす ...
夢の中へ
旅をしていると不思議な時間がある。
朝靄で見通しの悪い山間に、不意に静かな街が現れた。無気味なくらい人の気配がなく、建物の輪郭はぼんやりとして、それはまるで夢の中の街のよう。
街を抜けると朝靄は消えて太陽が山の ...