三連休三百名山三連登 一登目 – 高原山

天気予報がイマイチなので期待してなかった三連休だが、直前になって予報が好転した。ならばどこかへ行かねばならない。食料の準備をしてる暇がないので日帰りになるが、それでもいい。三連休で三連登だ。

自宅は東京の西の端にあり、勤め先は東の端にある。金曜日は車で出勤して、そのまま東へ向かおう。自宅からだとどうしても山梨や長野方面が多くなってしまうが、これなら行きにくい山域にも行ける。

仕事は適当に終わらせて、定時になったら出発だ。

ノープランだが、とりあえず夕飯を食べに行った。すっかり満腹になったら、後はひたすら四号線を北上する。

宇都宮を過ぎたあたりで日付が変わる時刻が近づいてきた。そろそろ運転を終わりにしないと、寝不足で明日は山に登れなくなってしまう。ほんとうは東北まで行きたかったが、まだ那須にも到達していない。

スマホで近隣の山を調べて、行き先を決めた。高原山、ここにしよう。

高原山は日光と那須の間にあって、関東平野からスッと立ち上がる端整な姿の山だ。男鹿山塊のすぐ南に位置し、先日登った日留賀岳からは目の前に見えていた。あの綺麗な山は何山だろうと思って眺めていたのが高原山だったのだ。

登山口を調べて、車を向けた。大きな駐車場があるから、そこで夜を明かそう。

翌日は予報通りに荒れ気味の天候だった。雨は降ってないが、風が強烈に吹きすさんでいる。うかうかしてると飛ばされそうだ。体感温度はかなり低く、鼻水がたらたらと流れ落ちる。

まずは最高峰の釈迦ヶ岳に向かった。

高原山は、那須岳、奥白根山、男体山とともに、栃木県内にある四つの火山のうちのひとつである。カルデラを囲む火山壁にいくつものピークが連なっており、それらを総称して高原山と呼ぶ。釈迦ヶ岳までの間にも、矢高山と剣ヶ峰の二つのピークを超えてきた。活火山ではあるが、有史以来の噴火の記録はない。数千年前に最後の噴火があったのは北部であり、登山で訪れることの多い南部には火山の面影は薄い。カルデラも土砂で埋まって木が生えている。

東側から釈迦ヶ岳へ登ってきたが、ここからは南、西、さらに北へ向かうルートがある。今回は西の鶏頂山へ向かった。なかなか目立つその山容に惹かれたからだ。

途中で御岳山を超えて、急な登りを登ると、鶏頂山に着いた。山頂には、実に立派な神社が鎮座していた。

灰色の重い空は、歩くに連れて明るくなってきていたが、ようやく青空も現れた。

帰り道には周囲の山々も見えるだろう。風はあいかわらず激しく吹いているけれど。

2020年11月