秋の終わりと冬の始まり – 西吾妻山
ふぅ、さすがに飽きてきた。
一切経山を下り、五色沼と家形山を越えて縦走路に入ると、展望はまったく無くなった。日の光は背の高い木々に遮られて薄暗い。雲の切れ間に太陽が現れても、縦走路の地面までは届かない。土は湿っぽく、ところ ...
秋の終わりの秋晴れの山 – 日光白根山
ロープウェイの駅を出ると、ぽこぼこぽこと丸い三つのデコボコピークが正面に見えた。あれが奥白根山の山頂だ。
写真ではよく見る眺めだが、実際に目にするのは初めてである。何年か前に登ったのは北側の菅沼登山口からであり、こちらへは ...
タイム塔ライアル & 蛭ヶ岳ピストン
先週は山に行けなくて、来週も行けない。今週は登っておきたい。でないと、三週間も空いてしまう。新しく買った靴の試し履きもしたい。
そんな週末に限って、天気予報は雨。さて、どこへ行こう。
こんな時はだいたい奥多摩か ...
キラキラと輝いていた、あの夏の山々 – 爺ヶ岳 / 鹿島槍ヶ岳 / 五竜岳 / 唐松岳
空にはひとつの雲もなく、山は緑に彩られ、進むべき道は目の前に広がっている。
美しい、素晴らしい、他に言葉も思い浮かばない。
扇沢から三時間登り、種池で主稜線に出た。ここからはずっと森林限界を超えた稜線を歩く。今 ...
灼熱アルプス Day5 – 薬師岳〜折立
黒い闇は淡い藍へと移ろい、たなびく雲が紅色に染まる。新しい朝が生まれた。稜線で迎える朝だ。
稜線で朝を迎えたのは、この五日間で初めてである。森林限界を超えた稜線の夜明けは、いつでも美しい。まだ真っ暗な時間から沢を登ってきた ...
灼熱アルプス Day4 – 黒部五郎岳 / 北ノ俣岳
夜が明けた。
朝陽がカール上部をオレンジ色に輝かせ、やがて全体をやわらかな光で包んでいく。岩壁に囲まれた緑のカール、やさしい朝の光、点在する巨石、すべてが美しい。
夜明け前の登山道を黙々と登っていたら、思いのほ ...
灼熱アルプス Day3 – 鷲羽岳 / 三俣蓮華岳
目覚めは悪かった。
背中が痛くてよく眠れていない。疲れはまったく取れてない。
テントの外はすでに明るい。周囲の登山者はとっくに出発しているだろう。まあいい、今日は縦走中で最も行程が短い日だ。
朝から ...
灼熱アルプス Day2 – 祖父岳 / 水晶岳 / 赤牛岳
テントの下の地面にはいくつもの大きな石が埋まっていて、頭を地上に出している。マットを敷いてもゴツゴツと背中に当たり、まっすぐ寝ることができない。石を避けてS字型になって、寝返りも打てずにひと晩を過ごした。縦走2日目も寝不足で始まった。 ...
GW四国の旅 – 石鎚山編
「途中から凍結しててとても危険ですよ」
長い鎖の垂れ下がった岩場を見上げて旦那さんが言った。
「わたしたちも途中まで登って怖くなって降りてきたんです」
心配そうな顔でこちらを見ていた奥様が続ける。
大地の息吹 – 阿蘇山
火山特有の荒々しい地形。
まるで日本じゃないみたい。いや、地球じゃないみたい。
阿蘇に来るのは何度目だろう。初めて来たのは高校の修学旅行だった。大人になってからも何回か来ている。しかし毎回、火口とその周り、せい ...