ゆるキャン△ in 劔沢&雷鳥沢 – その2
夜になっても激しい風が吹いていた。
夜半の突風でペグが抜けて、30センチほどテントが動いてしまった。どうやら周りも同じ状況らしい。カンカンカンとペグを打つ音が聞こえてくる。脳の片隅で起きなきゃなと思いつつ、眠いしめんどうな ...
僕らの選択 – 巻機山
ひとりで山を歩いていると時々思う、なぜ今この山を歩いているのだろうかと。
この山を歩くか、あの山を歩くかは選ばなければならない。二つの山を同時に歩くことはできない。人生は選択の連続だ。これまでに下した無数の選択の果てに今が ...
二月のテント泊 – 瑞牆山 / 金峰山
この10年間の記録を見ると、二月には一度もテント泊をしていない。おそらくそれ以前にもしていないだろう。それならと、どこかへテントを張りにいくことにした。その他の月ではテント泊しているから、これで年間制覇だ。
行き先はどこに ...
365日目の登頂 – 祖母山
ガスっているが、山頂まで行っておこう。
尾平登山口から九合目小屋まで登り、薪ストーブの暖かさに腰が重くなりかけたが、意を決して外へ出た。
ちょうど一年前、2019年1月1日の早朝に、電波も入らない山奥の登山口で ...
秋の終わりと冬の始まり – 西吾妻山
ふぅ、さすがに飽きてきた。
一切経山を下り、五色沼と家形山を越えて縦走路に入ると、展望はまったく無くなった。日の光は背の高い木々に遮られて薄暗い。雲の切れ間に太陽が現れても、縦走路の地面までは届かない。土は湿っぽく、ところ ...
秋の終わりの秋晴れの山 – 日光白根山
ロープウェイの駅を出ると、ぽこぼこぽこと丸い三つのデコボコピークが正面に見えた。あれが奥白根山の山頂だ。
写真ではよく見る眺めだが、実際に目にするのは初めてである。何年か前に登ったのは北側の菅沼登山口からであり、こちらへは ...
タイム塔ライアル & 蛭ヶ岳ピストン
先週は山に行けなくて、来週も行けない。今週は登っておきたい。でないと、三週間も空いてしまう。新しく買った靴の試し履きもしたい。
そんな週末に限って、天気予報は雨。さて、どこへ行こう。
こんな時はだいたい奥多摩か ...
キラキラと輝いていた、あの夏の山々 – 爺ヶ岳 / 鹿島槍ヶ岳 / 五竜岳 / 唐松岳
空にはひとつの雲もなく、山は緑に彩られ、進むべき道は目の前に広がっている。
美しい、素晴らしい、他に言葉も思い浮かばない。
扇沢から三時間登り、種池で主稜線に出た。ここからはずっと森林限界を超えた稜線を歩く。今 ...
灼熱アルプス Day5 – 薬師岳〜折立
黒い闇は淡い藍へと移ろい、たなびく雲が紅色に染まる。新しい朝が生まれた。稜線で迎える朝だ。
稜線で朝を迎えたのは、この五日間で初めてである。森林限界を超えた稜線の夜明けは、いつでも美しい。まだ真っ暗な時間から沢を登ってきた ...
灼熱アルプス Day4 – 黒部五郎岳 / 北ノ俣岳
夜が明けた。
朝陽がカール上部をオレンジ色に輝かせ、やがて全体をやわらかな光で包んでいく。岩壁に囲まれた緑のカール、やさしい朝の光、点在する巨石、すべてが美しい。
夜明け前の登山道を黙々と登っていたら、思いのほ ...