夜明け – 美ヶ原
深い夜の闇も薄らぎ、万物に形が戻ってきた。東の空の山際がオレンジ色に光り始める。
始まったな。この時間にここにいたいがために、凍りついた闇夜の山道を恐る恐る運転してきたのだ。
美しの塔を過ぎ、王ヶ頭を目指して進 ...
雪山日和 – 前掛山
いつ登るの? 今日でしょ!
そんな言葉を呟きたくなるほどの絶好の雪山日和だ。
ここに来るのはいつ以来だろう。以前に登ったのはもう何年も前のことになる。外輪山の黒斑山や蛇骨岳には何度か登っているし、冬にも来たこと ...
いったいなぜ、こんなことをしてるんだろう – 赤岳
やはり今年は雪が深い。南沢も例年にない積雪量だ。
新雪はまだ踏み固められてなく、足を取られて進みは遅い。踏み抜くと腰までハマる。
地蔵尾根にも柔らかな雪が降り積もり、アイゼンが効かない。
急斜面をず ...
冬の伊豆 – 天城山
思ったよりも雪山だった。
登山口へ向かう山道からして、ガチガチに凍結していた。恐る恐る運転してたどり着いた駐車場は雪に埋もれていた。
本格的に雪山へ登るのは準備も含めてめんどうだし、天気予報もイマイチだし、それ ...
晴天と風雪の北岳
思ったよりも雪が深い。冬の始まりにしては、けっこうな積雪量だ。
左俣を遡って北岳山荘を目指す。沢沿いの登山道は雪に埋もれ、踏跡はあちこちに適当に付いている。行けそうなルートを自分で見定めて登るしかない。新雪はやわらかく、下 ...
百名山の登り方 – 皇海山
庚申山の山頂は樹木に囲まれた小スペースで展望はまったく無かったが、少し先に進むと視界が開けて、皇海山まで連なる稜線を見渡すことができた。
この風景を見た瞬間に、この山域が大好きになった。幾重にも織りなす緑の山々。山らしい山 ...
厳しくも優しい、山という存在 – 荒海山
車を停めて、林道を歩く。
林道は荒れているといったレベルではなく、破壊しつくされていた。自然の力は、人間の営みなど粉々に砕くほどの苛烈さだ。
林道終点から斜面を上り、尾根に乗ると、穏やかなブナ林が続いていた。
歓喜と祝福の稜線 – 笠ヶ岳
テントから這い出ると、朝の淡い光の中に乗鞍と御嶽が浮かび上がっていた。
今日は良い天気だ。
荷物をまとめて出発だ。
昨日は見えなかった山頂までの稜線が、今ははっきり見えている。
クリヤ谷 ...
2021年の南アルプス 〜 下山編 / 聖岳
爽やかに晴れ渡った美しい朝だ。昨日の豪雨はなんだったのかと思うほどの変わりようだが、山の天気なんてこんなものだ。
「この時期は降られる覚悟はしてたけど、昨日の降り方は、あれはないよなあ〜」
隣にテントを張ってい ...
2021年の南アルプス 〜 稜線編 その1/ 赤石岳
二日目の朝。天気は良いが、体は重い。昨日のダメージから快復していない。
森林限界を超えて登山気分は高まるものの、足取りの重さは相変わらずだ。
今回の山行計画は今日中に決定しなければならない。
A案: ...