雲の海に光る峰 – 有明山
重く立ち込めた灰色の雲がじわじわと薄くなり、やがて青空が透けて見えた。
ん? 突き抜けるかな?
ここまでずいぶん登ってきた。山頂までの標高差はもういくらもない。できることなら雲の上に広がる青空の下の頂に立ちたい ...
聖地の空気 – 七面山
なんみょーほーれんげーきょーー
ドン!ドドン!ドドドドン!
なんみょーほーれんげーきょーー
ドン!ドドン!ドドドドン!
なんみょーほーれんげーきょーー
早朝の澄んだ青空の下、お題目が響き渡る ...
登山は想像力、そして行動力 – 鋸岳
ついにここまで来た。
中ノ川乗越の向こうに見えるのが鋸岳第二高点だ。
急なガレ沢が岩山の上へと続いている。
あれ、登れるのか?
ここまでもそれほど楽ではなかったが、ここから先はもっと楽ではな ...
陽の光この身に浴びて輝く日 疑う余地もないほどの愛 – 大天井岳
なんだか空が明るくなってきた。
ガスに巻かれて真っ白だったので、テントを張って早々に、展望は諦めて夕飯のしたくをしてたのだが、慌てて見晴らしのいい場所へ行ってみる。
薄いピンクに色づいた空の下、槍から穂高へと続 ...
この道をどこまで行けば辿り着くのか 青空にひと筋ヒコーキ雲 – 御座山
整備されて歩きやすい登山道を登っていく。
周囲は木々が茂っていて、展望はほとんどない。
なんだかもやもやした気分なのは、登山道が少々退屈なせいだけではない。
もやもや…ちょっと違うな。
なんとい ...
登山のルール – 妙義山
クサリを握る手に力が入る。
いつもはふざけてなめた山登りばかりしているが、さすがにここは慎重に行かないと。
両側が切れ落ちた岩稜を進む。万が一にも足を滑らせたら、あとは握ってるクサリが全てだ。手を離してしまえば ...
大無間地獄 – 大無間山
思わず無言になってしまう…そんな急登を三時間登り続け、ようやく最初のピーク、P4に到着した。
ここからP3、P2、P1、さらに小無間、唐松谷ノ頭、中無間と全部で7つのピークを越えて、ようやく大無間山の山頂に至る ...
深田久弥という男 – 茅ヶ岳
「こんな山のなかで死んで、深田さんは幸せだったのかな…?」
好きな山で死ねたんだから、幸せだったんじゃないですか?
一年ちょっと前に訪れた茅ヶ岳、深田久弥先生終焉の地の碑を前にして、そんな会話を交わしました。
生き延びる自分を経験すること – 愛鷹山
鋭く尖った岩峰を巻くように付けられたトラバース路が、道の途中で完全に崩落していた。
これは…どうやって進むか…。
いや、どうやってなどと考える余地はない。選択肢はない。空に突き刺さるかの ...
九月の五日間 その4 – 上河内岳 / 茶臼岳
南アルプス南部に、南岳という山がある。
山好きな人々でも、この山を知っている人は、それほど多くはないだろう。
かくいう自分も、全く注目していない山であった。
主要縦走路中にあるこのピークの標高は2702 ...