いったいなぜ、こんなことをしてるんだろう – 赤岳
やはり今年は雪が深い。南沢も例年にない積雪量だ。
新雪はまだ踏み固められてなく、足を取られて進みは遅い。踏み抜くと腰までハマる。
地蔵尾根にも柔らかな雪が降り積もり、アイゼンが効かない。
急斜面をずりずり滑り落ちながら登るのは少々怖い。
稜線は突風が吹いていた。体感温度は低く、じっとしていると凍えそうである。
高曇りの空に気分も上がらない。
天気がいまいちなのは分かっていたが、赤岳くらいなら大丈夫だろうと思って来た。これくらいなら遭難するようなことはないが、いったいなぜこんなことをしてるんだろうという気持ちにはなる。
鼻水をたらしながら登頂した。まあ、冬のうちにここに来ておくのは悪くない。
下山の途中で足が痛みだした。ひさしぶりに履いた冬履で擦れて、豆ができてしまったようだ。スピードは出せないのでゆっくりゆっくり下る。下山の南沢では、相当な数の登山者に抜かされた。
痛む足でとぼとぼと下山し、美濃戸口にもどったときには、すっかり夜になっていた。
寒いし、痛いし、疲れるし、いったいなぜこんなことをしてるんだろうという気持ちになる。
でも、これがいいんだよね。
2022年1月