雪山日和 – 前掛山

いつ登るの? 今日でしょ!

そんな言葉を呟きたくなるほどの絶好の雪山日和だ。

ここに来るのはいつ以来だろう。以前に登ったのはもう何年も前のことになる。外輪山の黒斑山や蛇骨岳には何度か登っているし、冬にも来たことがあるが、前掛山は夏山しか知らない。

いまなお噴煙を上げ続ける浅間山、その中央火口丘へ向かって火山特有の広大で荒涼とした風景の中を登っていく。

火口壁の上に出ると、その先は立ち入り禁止である。現在は噴火警戒レベル1なので、火口壁に沿って前掛山まで行くことができる。

この風景が素晴らしいのだ。山頂へ向かって緩やかにカーブしながら伸び上がっていく火口壁、その内側は大きく切れ落ちた火口。

深い青空の下、夏には赤銅色だったあの山が雪を纏って白く輝いていたら、それはもう美しいに違いない。そう思うと、いてもたってもいられず、快晴の日を選んで来たのだ。

一歩一歩を味わいながら、最後のヴィクトリーロードを進む。

火口壁の上は吹きさらしで、爆風に飛ばされそうになる。でも、そんなことは、この素晴らしい風景を前にしたら、どうってことはない。

振り返るとトーミの頭から黒斑山、蛇骨岳、Jバンドと連なる外輪山。その背後には白銀の北アルプス。最高じゃないか。

前掛山に到着し、しばし感慨に耽る。ほんと来てよかった。なんだか最近、登山熱が冷めてたようなところがあったけど、こんな日があると、やっぱり山に登っててよかったなと思う。

いつまでも耽っていたかったが、そうもいかない。爆風に晒されて体温が下がってきた。防寒力の高くないグローブをしてるので、手指の先が痺れてきている。

火口壁から降りれば風は収まる。そこまでせいぜい20分だ。残り少ないこの貴重な時間を堪能しつつ下るとしよう。