進化の法則、あるいは幸福の理由 – 阿弥陀岳
さて、どうしようか。
目の前の岩稜を登り切れば山頂だ。フリーでも登れるだろうが、もしも途中で進退窮すると、撤退はやっかいなことになるだろう。
岩稜を巻いても稜線に出るはずだが、ここまで登ってきた人たちはみな岩稜へ行 ...
「なんとなく」の効用 – 竜ヶ岳
顔を上げると、目の前に広がる笹原を包み込む青い空。
あー、失敗したかな~
なんとなく天気があまり良くなさそうな気がして、なんとなく高い山はやめにして、近場で低めの山に変更してきたのだ。
左手にはずっ ...
縞枯地帯の青い空 – 縞枯山
青い空が見えてきた。透き通った青空だ。
展望のない樹林帯の急登をずっと登り続けてきたが、ようやくあそこで山頂のようだ。
出発前は薄灰色の雲が空に広がっていた。ひどく天気が悪いわけではないが、白っぽくてさえない空 ...
新しいおもちゃとバレンタイン山行 – 高尾山
山行くぞーっと早起きしたはいいものの、どうやら外は雨、しかも酷い風が吹いている。
この暴風雨の中、まだ暗いうちから出かける気にもなれず、今日は中止だなあ、と行動食のチョコレートをポリポリ食べつつ寝転んでいた。
朝が ...
生き延びる自分を経験すること – 愛鷹山
鋭く尖った岩峰を巻くように付けられたトラバース路が、道の途中で完全に崩落していた。
これは…どうやって進むか…。
いや、どうやってなどと考える余地はない。選択肢はない。空に突き刺さるかの ...
青と白の世界 – 権現岳
見上げれば、深い深い空の色。
それはあまりに深くてあまりに色濃くて、「青空」と呼ぶのは相応しくない。
紺碧?紺青?瑠璃色? どんな言葉を用いても表しがたい色をしている。
背後に広がる無限の宇宙が溶け出したかのよ ...
高尾 de 新年会
「そうだ!あさかわに行けるじゃない!」と餃子をパクつきながらM子先生が言いました。
あさかわ? それは飲み屋じゃないですか。次回山行の行き先を相談してるのに、あさかわですか…?
「いいね!あさかわだったらわたし ...
夢のあとさき – 後編
六畳一間トイレ共同の安アパートが、青春時代のM子先生の城でした。
大家さんは隣りに住んでいて、夫婦と小学生の子供四人で賑やかに暮らしてました。子供たちと仲良くなったM子先生は、遊び相手になったりもしていました。
夢のあとさき – 前編
「三ツ峠山に行ってみたい」とM子先生。
週末はS子先輩と三人で奥秩父のマニアックな山に登る予定でしたが、S子先輩が急用で不参加となってしまったため、S子先輩希望のマニアックな奥秩父の山行きも宙に浮いてしまったところでした。 ...
酒の神様と白砂の稜線 – 羅漢寺山
目の前には南アルプス。甲斐駒から鳳凰へ続く尾根の向こうの白峰三山。
反対側は奥秩父。金峰山の雄大な山容。茅ヶ岳、金ヶ岳から曲峠への急な下り、さらにそこから再び上って、曲岳、黒富士、太刀岡山と続く山並み。裾野の集落。 ...