機械の道と獣の道 – 北岳 / 小太郎山
登山口から二時間ほど登り、御池のほとりにテントを設営したら、もうやることはなくなった。見上げる青空には北岳の頂が輝いている。
行くか、あそこまで。こんなに天気いいんだしな。
簡単な荷物と弁当だけ持って、八本歯の ...
雲の海に光る峰 – 有明山
重く立ち込めた灰色の雲がじわじわと薄くなり、やがて青空が透けて見えた。
ん? 突き抜けるかな?
ここまでずいぶん登ってきた。山頂までの標高差はもういくらもない。できることなら雲の上に広がる青空の下の頂に立ちたい ...
黒川鶏冠山の謎
飲み会の翌朝。なんだかまだ酔ってるような気分の中、ゆっくり起きて仕度して、珍しく高速を使ったら事故渋滞に巻き込まれ、登山口に着いたのは午前11時でした。
まあ、こんな時間からでもさらっと登れるからという理由で黒川鶏冠山にし ...
お腹いっぱいの山行 – 妙高山 / 火打山
なんだか体が重い。
足が上がらない。
前を歩くM子先生との距離が、どんどん開いていく。
早朝は青く晴れていた空も、いまではどんより曇っていて、気分も上がらない。
背中の荷物がやたらと重く ...
百名山の憂鬱 – 那須岳
なんとなくぶらっと那須まで来た。
なんとなくぶらっと適当に来たので、あまり早い時間の到着ではない。なので普段着のみなさんに紛れてロープウェイで上がる。
天気はどんより曇り空、紅葉にもまだちょっと早いにもかかわら ...
日本のアリゾナ – 鹿岳
見えた。あれだ。あれが鹿岳だ。かっこいいじゃないか。
鹿岳…名前だけは知っていたが、有名山とは違って写真で見たこともなかった。初めて見るその姿は、なんだかアリゾナ州あたりの岩峰のようでもあった。
西上州にはかっ ...
雨と肉と低山 – 九鬼山 / 御前山
「ドラえもんと同じだから」
何度もそう聞かされてたので覚えてましたとも、M子先生の誕生日を。
で、今年はドラえもん(とM子先生)の誕生日が土曜日だったので、いっしょに山へ行くことになってたのですが、あいにくその ...
山蛭戦記 2016 – 高ドッキョウ / 貫ヶ岳
足首にチクっと刺す軽い刺激。
針の先で軽く触れたかのような、気づくか気づかないか程度の微かな痛みだ。しかし、この感覚には覚えがある。過敏にもなっている。
まさか…。きたか…。
登山靴に指を突っ込み確 ...
北アルプスの四日間 その5 – パノラマコース(馬の耳・扇の頭)
涸沢の夜は賑やかだ。
カラフルなテントの群れに灯りがともり、艶やかに煌めいている。そこかしこでいつまでも、楽しげなざわめきが聞こえている。無数の話し声が集まって、ざわざわという音の塊になり、カールを優しく包んでいる。
北アルプスの四日間 その4 – ジャンダルム
喧騒の奥穂高岳山頂を離れて、西穂への縦走路をほんの少しだけ歩いた。さすがにちょっとあのカオスな山頂には居続けられなかったので、静かなところでゆっくりと、この三日間を振り返ろうと思ったのだ。
わずか数十メートル山頂を離れただ ...