木の芽煮
鞍馬寺の門前に軒を連ねる土産屋では、昔ながらの建物で昔ながらの土産を並べている。
土産屋の主力商品は、鞍馬名物の木の芽煮だ。木の芽煮というのは、細かく刻んだ昆布に山椒の実と葉を加え、真っ黒になるまで醤油で煮込んだ佃煮である ...
京の都の奥座敷 – 鞍馬
鞍馬というと、山深い地というイメージだ。実際それは、京都の市街地から北へ10kmの山間部にある。山と山に挟まれ、谷沿いを流れる川と並んで走る狭い街道沿いに集落はある。
鞍馬山は山岳信仰の地であり、山伏による密教も盛んであっ ...
2022年、初テン泊 – 大菩薩嶺
今年に入ってから、一度もテント泊していないことに気づいた。これはいかん。山で寝ないと精神にも肉体にも悪影響しかない。というわけで、食料を用意してテント泊装備をザックに詰め込んだ。
本当は夏山ルートの無い上越の山で一夜を明か ...
登山とは何か、あるいは現代登山の行き着く先 – お天狗山
早朝の街はまだ眠りから目覚めていない。進む先には山が見える。今日はあの山に登るのだ。
所用で群馬に来た翌日、天気も良いのでひと山登ってから帰ろうと、甘楽町小幡まで来た。街の中心部に車を停めて、城下町の町並みを歩いて抜ける。 ...
スノーモンスターに会いに行った日 – 蔵王山
樹氷の森を縫って、リフトは高度を上げていく。これだよ、これこれ。これが見たかったんだ。
冬の蔵王へ樹氷モンスターを見に行こう、そう思い立ってから何年も経ってしまった。冬の蔵王は天候が安定せず、快晴が約束された週末はなかなか ...
地味山縦走 in 丹沢- 雨山 / 檜岳 / シダンゴ山
寄から舗装路を歩き、遊歩道に入ってしばらく進むと、その先は沢筋を遡ることになる。
ところどころ崩れていて、なかなかワイルドな道だが、目印は多く迷うことはないだろう。丹沢らしい親切さだ。
雨山峠まで登り、そこから ...
地味山には地味山にしかない良さがある – 熊倉山
歩き始めからけっこうな急登だった。うっかりすると転げ落ちそうな斜面の登山道をジグザグに登っていく。
峠まで車で上がり、あとはちょっと登るだけかと思っていたが、なかなかに手強い。
それにしても地味だ。植林された杉 ...
夜明け – 美ヶ原
深い夜の闇も薄らぎ、万物に形が戻ってきた。東の空の山際がオレンジ色に光り始める。
始まったな。この時間にここにいたいがために、凍りついた闇夜の山道を恐る恐る運転してきたのだ。
美しの塔を過ぎ、王ヶ頭を目指して進 ...
雪山日和 – 前掛山
いつ登るの? 今日でしょ!
そんな言葉を呟きたくなるほどの絶好の雪山日和だ。
ここに来るのはいつ以来だろう。以前に登ったのはもう何年も前のことになる。外輪山の黒斑山や蛇骨岳には何度か登っているし、冬にも来たこと ...
いったいなぜ、こんなことをしてるんだろう – 赤岳
やはり今年は雪が深い。南沢も例年にない積雪量だ。
新雪はまだ踏み固められてなく、足を取られて進みは遅い。踏み抜くと腰までハマる。
地蔵尾根にも柔らかな雪が降り積もり、アイゼンが効かない。
急斜面をず ...