足尾のハゲ山 – 備前盾山
何年か前にインターネットで見かけた栃木の山の写真がずっと気になっていた。それは足尾の山で、銅山の公害によりすっかりハゲてしまった山の写真だった。
あの山に登ってみたいと思いながらも、山名を記憶していないので果たせずにいたが、地図を眺めてあたりをつけた。たぶんここだろう、備前楯山。銅山に最も近い、というよりも銅山そのものである。よし、行ってみよう。
夜明け前の暗闇の中、足尾の町から車一台がやっと通れる林道を1時間登り、舟石峠に車を停めた。ここから登山開始だ。
夜が明けて朝日が昇ってきた。やわらかな日差しに照らされて紅葉の樹林帯を登っていく。
美しい山道だ…が、あれれ? 木々が茂っていて、まったくハゲていない。もう少し登ればあの荒涼とした風景になるのだろうか。
いつになったら風景が変わるのかと思いつつ登ったが、あっというまに山頂だった。舟石峠からだと1時間ほどで登れてしまう。
うーん、どうやらここではなかったようだ…。
山頂からは山並みの奥に男体山が見える。なかなかの展望だ。目当ての山ではなかったが、これはこれで良い山だった。こういう出会いがあるのも、また旅の楽しみである。
あのハゲ山を探す楽しみもまだ残っているしね。
2022年11月