暑さと湿気と山ツツジ – 赤指山 / 千本ツツジ
暑い。汗が噴き出す。たっぷりの湿気を含んだ空気が皮膚にまとわりつく。体が重く、思うように足が上がらない。
しばらくまともな山には登ってない。通勤も車だったので、運動という運動から遠ざかっている。3ヶ月ぶりの「登山」に息が上がる。
巻き気味に進む登山道から適当なところで斜面を上がり、赤指尾根に取り付いた。赤指山のピークを踏みに行く。
来た方向へ戻るようにして尾根を進んだ最初のコブが赤指山の最高地点だった。山頂とされてるのはもうひとつ先のコブ、最高地点より少し低い。山頂も最高地点も、わざわざ登ってくる人はほとんどいない。
赤指山を後にし、ルートへ復帰した。どこまで登っても蒸し暑い樹林帯の急登が続く。
ふいに樹林が途切れて視界が開けた。頭上には青空が広がっている。千本ツツジまで、あとひと登りだ。
花咲き乱れるビクトリーロードを期待していたが、花が付いていたのは、終わりかけのトウゴクミツバツツジ一本と咲きかけの山ツツジ一本の合わせて二本だけだった。まあでも色のある風景が見られただけで良しとしよう。
縦走中に何度も通過したことのある千本ツツジだが、こうして登ってくるのはまた違った良さがある。草地の広がる眺めの良い山頂だ。
のんびり休憩しようと腰を下ろしたものの、直射日光と虫の攻撃に耐えかねて、早々に切り上げた。
七ツ石山には向かわずに、鷹ノ巣方面へと歩いていく。ここから巻道を歩いて避難小屋まで行き、奥集落へ下りる予定だ。巻道を選んだのは、まだ一度も歩いたことがないからという表向きの理由とともに、尾根は疲れるという現実的な理由もある。
だが、山頂からコルへ降りていくと、巻道は崩落で通行止めだった。昨年の台風の傷跡がいまだ癒えないようだ。このあたりの巻道は崖沿いに橋を渡した強引な箇所も多いので、崩れると復旧には時間がかかるのだろう。
尾根道ならもちろん行ける。でも今日はやめておく。暑くて疲れたし、なにより尾根を行くと二つの大きなピークを超えなければならない。それがけっこうキツイことはよく知っている。
代わりに千本ツツジ周辺のツツジの木の分布状況を見て回り、ワラビが群生してる秘密の場所を確認して次年度の作戦を練ってから、登ってきた道で下山した。
2020年6月