裏銀座の五日間 day1
縦走初日ってのは気が滅入る。
わくわくできるのは出発前まで、歩き出せば荷物の重さと登り坂が両肩背中足腰に堪える。数日分の食料が詰まったザックは、出発時が最大重量だ。おまけに天気が悪いときたら、気分も上がらず足も上がらない。 ...
雲の海に光る峰 – 有明山
重く立ち込めた灰色の雲がじわじわと薄くなり、やがて青空が透けて見えた。
ん? 突き抜けるかな?
ここまでずいぶん登ってきた。山頂までの標高差はもういくらもない。できることなら雲の上に広がる青空の下の頂に立ちたい ...
北アルプスの四日間 その5
涸沢の夜は賑やかだ。
カラフルなテントの群れに灯りがともり、艶やかに煌めいている。そこかしこでいつまでも、楽しげなざわめきが聞こえている。無数の話し声が集まって、ざわざわという音の塊になり、カールを優しく包んでいる。
北アルプスの四日間 その4
喧騒の奥穂高岳山頂を離れて、西穂への縦走路をほんの少しだけ歩いた。さすがにちょっとあのカオスな山頂には居続けられなかったので、静かなところでゆっくりと、この三日間を振り返ろうと思ったのだ。
わずか数十メートル山頂を離れただ ...
北アルプスの四日間 その3
涸沢岳はガスに巻かれていた。展望はないが、暑くないのは助かる。景色は明日の楽しみとしよう。
ひさしぶりに腰を下ろして休憩した。北穂高小屋でも南岳小屋でも立ったままだったから、座ったのは朝ごはんを食べた大喰岳以来だ。ここまで ...
北アルプスの四日間 その2
day 2
槍の穂先の向こうから、新しい太陽が登ってきた。
朝が来た。世界が光で満ち溢れていく。
昨日は喘ぎながら登った槍の肩までの登りを、今日はほんの僅かではあるが楽に登ることができた。ひと晩寝て疲れ ...
北アルプスの四日間
夏休みは北アルプスへ。春からずっとそう考えていた。
これまではほとんど日帰りでしか山へ行けなかったので、なかなか北アルプスに登ることができなかった。それが、まあ、望んだわけではないが、休日はわりと自由に好きなだけ山へ行って ...
陽の光この身に浴びて輝く日 疑う余地もないほどの愛 – 大天井岳
なんだか空が明るくなってきた。
ガスに巻かれて真っ白だったので、テントを張って早々に、展望は諦めて夕飯のしたくをしてたのだが、慌てて見晴らしのいい場所へ行ってみる。
薄いピンクに色づいた空の下、槍から穂高へと続 ...
光る雪 心にしみる春の山 帰らぬ日々に想いをはせて – 乗鞍岳
眩しく輝く白い頂き。青空が心に染みる。
森林限界を越えると広がる雪原は開放的で気持ちいい。
来てよかったな。ここに来てよかった。
切なさや愛しさで胸がいっぱいになる。
どこを歩いても行けそう ...
世界一簡単な3000m峰より – 乗鞍岳
平湯温泉の駐車場に車を停めて、バスに乗り換えます。
車内でうとうとしてると、1時間ほどで標高2702mの畳平に到着。実にお気楽です。うたた寝してるうちに森林限界を超えてるんですから。
山頂までの登山道は完ぺきに ...