秋の日光の喧騒から離れて – 温泉ヶ岳 / 根名草山

秋の日光をなめてはいけない。夜明け前なのに、中禅寺湖周辺の駐車場はすでに満車に近かった。日中はカオスだろう。

激混み必至の中禅寺湖畔は避けて、金精峠まで車で登った。こちらの駐車場もすでに八割方は埋まっていた。

駐車場には車がいっぱいだったにもかかわらず、温泉ヶ岳へ向かう登山道は静かなものだった。自分の他にはだれも歩いていない。金精峠に駐車した登山者はみんな奥白根山へ向かったのだろう。山が混んでるという不平不満をよく耳にするが、それはごく限られた一部に過ぎず、大多数の山にはほとんど人がいないものだ。

人もいないが紅葉も無かった。見ごろはだいたい標高1200m付近、ちょうど中禅寺湖のあたりだ。いま歩いてるのは標高2000mを超えていて、すっかり紅葉は終わっている。それに、常緑樹が主体なので、そもそも紅葉する木があまりない。

まあ、人が少ないのにはそれなりの理由があるものだ。でもいいのさ、なにも紅葉だけを見に来たわけではないのだから。こんな晴天の日にただ山を歩いてるのは、それだけで気分が良いのだ。

温泉ヶ岳には1時間半もあれば着いてしまう。これだけではさすがにあんまりなので、もう少し歩く。

念仏平を経て根名草山へ、のんびり歩いてもここまで3時間半だ。さらに先へ進めば、澤温泉から鬼怒沼湿原までも行けるが、今日はこれくらいでいいだろう。

最近、あまりガツガツ歩く気分じゃないのだ。がんばって長い距離を行くより、簡単なところをのんびり歩きたい。静かに、ひとりで。

特にすることもないが時間はあるので山頂でボーッとしていると、おじさん三人組が登ってきた。さらには男女のペアが到着した。今日はこれでお終いだろうか。

賑やかになってきたので山頂を後にする。

帰り道はのんびり歩く。急ぐ必要はない。山頂に残してきた五人には途中で抜かされたが、それでいい。

下山後に車で通り過ぎた中禅寺湖半は予想通りの賑わいだった。今が盛りの紅葉を横目に、渋滞で動けなくなる前に日光から抜け出した。

2022年10月