あさかわ食堂のその後

二年前の春、甲府から乗った中央線が高尾駅に到着したとき、駅前の様子がいつもと違っていた。

えっ、あっ、ついに!?

北口駅前の再開発は何年も前から噂されていた。バス乗り場の拡張により、あさかわ食堂が閉店するということも。

あわてて電車を降り確認に向かうと、そこには今までと変わりないお店があった。どうやらバス乗り場を広げても、あさかわの敷地には影響なかったようだ。

なんだよー、と思いつつ、実にホッとした。

それからのあさかわには明るい日々が帰ってきた。

閉店問題のあったころは、なんだか空気も重かった。今年いっぱいとか、秋には…なんて話が常にあった。だれかがお店の人にボソッと移転先を尋ねても、いいところがないという答えが返ってくるだけだった。みんなが、これが最後になるかもしれないと思いつつ飲んでいた。

このブログでは特定のお店については書かないようにしているのだが、もうすぐ閉店なのだからと、あさかわだけは例外的にブログ記事にした。そしたら、まさかの閉店取り消し、もちろん喜ばしいことではある。

ボロボロだったのれんも新しくなり、閉店騒ぎなどすっかり過去のことになっていった。店内の話題にも上がらなくなった。平穏な日々が続いていた。そしてそれがこのままずっと続くと思い込んでいた。

悲劇は突然やってくる。油断してるとやってくる。

「あさかわ、3月3日で閉店」という情報は突然もたらされた。はっ?いまごろなんで?ガセネタでしょ?と思ったが、どうやら過去の閉店騒ぎとは違うようだ。

以前は、今年いっぱいとか秋までとか来年にはとか、遠くはないけど近くもない未来のどこかで閉店っていう話しだったが、今回は具体的な日を示している、しかももうひと月もない、これはマジかもしれんな…と覚悟したが、その後の情報では移転先も決まっているとのことであった。

なんだよ〜、おどかすなよ〜。でも、よかったよかった。

2019年3月3日、現店舗での最後の営業日、開店直後からお店に居座って飲み続けた。天気が良くないからか、たいして混んでいない。最後の日は混むだろうと予測して、みなが避けたのだろうか。それとも、どうせ移転するから、そしたらまた行けばいいかってところだろうか。というか、今日は知ってる顔ばかりだ。

閉店まで居座るのも考えたが、さすがに酔っ払ったしお腹もいっぱいなので、5時間で退店した。帰りに移転先の店舗内をガラス扉から覗くと、なんだかファンシーな内装だった。これがどんなお店になるのだろう。厨房設備が貧弱だから改装に時間かかるって言ってたな。それよりあのお嬢様が座るみたいなカウンターの椅子、あれそのまま使うのだろうか。そういえば、いまのお店のカウンターを新店舗に移設してくれって無茶振りしてたお客さんもいたな。

予定では、そろそろ新規オープンするはずだ。こんどの週末にでものぞいてこよう。

あさかわのみなさま、いつもお世話になってます。健康に気をつけて、無理せず末永くお店を続けてください。