山頂すき焼き&山頂デザート @百蔵山

「Sちゃんの誕生日って来月じゃなかったっけ?」

あっ、そうだ。忘れてた…。来月の、それも前半ですよ…。

S子先輩の誕生日はわたくしとちょうど一ヶ月違いなのでよく覚えています。正確に言うと◯年と一ヶ月違いですが。

「えー、もうすぐじゃない。なにか考えないと〜」

というわけでバタバタと計画し、K女史はお昼ごはんにすき焼きを、わたくしはデザートのケーキを用意することになりました。行き先はなんだかんだと意見が出ましたが、扇山から百蔵山と決まりました。

梨ノ木平から稜線まではずっと登りが続きます。

いろいろ予定も盛りだくさんで、早く登らなくちゃと気が急くものの、ゆっくりゆっくり登ります。

ゆっくりゆっくり。すごーくゆっくり。時々立ち止まりもします…。

そしてまた、ゆっくりゆっくりゆっくりと…。

って、全く登ってきませんよ…。二人とも…。

電車とバスで登山口まで来たので、出発時間は早くはありませんでした。二つの山に登って誕生日会もして下山すると、それなりの時間がかかってしまいます。
下山後に猿橋の湯立人鉱泉でさっぱりする予定なのですが、営業時間は5時までなので、のんびりするなら3時半には鉱泉に着いていたいところです。そこから時間を逆算すると…。

うーーん。すでに押してます…。

誕生日会の主賓を急かすわけにもいかないので、ジリジリしながら登ります。
しかし、いっしょになってのんびりしてるK女史は、登山計画書を見てるはずなのに…。いや、そんな細かいとこまで見てないか…。見てないよね…。

お二人の姿は登山道のずーっと下なので見えませんが、登山道のずーっと下からお二人の大きな話し声が響いてきます。

「もうなにしてもイライラする!」
「NHK見ててもイライラする!」

いったいなんの話題なんでしょうか…。

稜線に出てもお花の写真を撮ったりで、なかなか進みません。

もうこの時点で半ばあきらめモードです。とりあえず、高尾の温泉の送迎バスの時間も確認しておきます。

扇山の山頂は多くの人で賑わっていました。

ようやく到着し、富士山を眺め、写真を撮って、周囲をぶらぶらし…でもまだお二人は現れません…。しかたなく引き返してみると、登山道の脇にしゃがんで写真を撮ってらっしゃいました。

まあ、温泉だけが目的ではないので、楽しんでいただければそれでいいんですけどね…。

扇山を早々にあとにして、百蔵山へ向かいます。

いったん鞍部まで下り、そこから百蔵山まではずっと登りが続きます。

鞍部から一時間ほど登り続けて百蔵山の山頂に到着しました。午後になってもすっきり見えてる富士山を眺め、写真を撮って、周囲をぶらぶらし…が、お二人はなかなか現れません…。

しかたなく引き返してみると、最後の登りをひいひい言いながら登ってるところでした。
まあ、これは急かすわけにもいかないので、もう少しですよ、もう少しですき焼きですよ、と声をかけて見守ってるしかありませんでした。

ようやく全員が到着した百蔵山で、さっそくお誕生日会の開始です。

まずは、すき焼きから。

K女史が用意したすき焼きは、なんか有名なお店の肉だそうで、すごくすごーーく美味しかったです。いままでの人生で食べたことのない上品な美味しさ…。

いつもこんないい肉を食べてるんだろうか…。さすが稼いでる人は違うな…。

山頂で誕生日の歌を歌って、ホールケーキの3分の1づつをそれぞれが食べ、コーヒーを飲んだら、一時間半が過ぎていました。

すでに予定時間をオーバーしてますが、ここからがんばれば、いや普通に歩けば、四時くらいには鉱泉に着けそうです。一時間あれば、まあいいでしょう。
この先はそんなにお花もないだろうから、S子先輩もそうそう立ち止まってしゃがまないでしょう。登りはいつも苦しそうなK女史は、なぜだか下りは得意なようで、涼しい顔ですいすい下ります。

よし、ではなんとか四時までに湯立人鉱泉へ…着けるかな…。

その後も、お二人はペチャクチャペチャクチャおしゃべりしながら歩いててなかなか進まず、ジリジリしたりイライラしたりしましたが、なんとかお風呂に入らせてもらえる時間ギリギリには湯立人鉱泉に到着することができました。

百蔵山の山頂でホールケーキを下ろしても下りなかった肩の荷が、ようやく下ろせてホッとしました。

湯立人鉱泉のおばちゃんに、「どこ登ってきたの?」と聞かれたので、扇山と百蔵山ですと答えます。

「それにしてはずいぶん遅いねえ」

ええ、ええ、そうなんですよ。それはもう、実に…と語りたい気分でした。

お湯から上がって広間で待っていると、お二人もやってきてくつろいでいます。なかなかここを気に入ってくれたようでよかったです。

「あ〜もうここでのんびりしてたい〜動きたくない〜」

だから…。

もう動きたくないというお二人を、そろそろ閉店時間だからと外へ出し、歩きたくないというお二人になんとか駅まで歩いていただき、電車に乗って高尾までもどりました。

〆はあさかわです。

あさかわでは、なぜだかS子先輩は大泣きしながらお酒を飲んでるし、K女史は突然立ち上がって「みなさん!聞いてください!」なんてやってるし、わたくしは女将さんに「あなたがしっかりしてないとダメよ!」とダメ出しされてしまうし(重々承知しております)、またさらにちょっと行きにくくなってしまったのでした…。

いつも通り閉店ギリギリまで粘ってお開き。

閉店時間が早めで助かっております。