冬の始まりの日 – 前黒山 / 新湯富士
冬の初めの大沼園地は静かで薄ら寒く寂しげだった。朝の冷たい空気が鋭く肌を刺す。こんな季節には訪れる人もなく、駐車場には他に車もない。
ヨシ沼まで行き、林道を歩いて登山口から前黒山へ向かった。
誰もいない静かな尾根を登っていく。
山はすっかり冬だった。木々は葉を落とし、明るい光が差している。太陽を反射して新雪が白く輝く。
まだ誰も歩いていない、踏み跡のない雪道を行くのは気持ちいい。雪が深いと困難なラッセルになるが、この程度なら気持ちよく歩ける。
晴れた冬の日の陽の光を浴び、凛として冷たい空気を肺いっぱいに吸い込んで下山した。
ヨシ沼まで降りてそのまま駐車場へは向かわず、反対周りで富士山へ寄り道した。
遊歩道の脇には新湯温泉の源泉が沸いていて、ここから温泉街へ引かれている。遊歩道から温泉街も見える。
新湯富士とも呼ばれる富士山は標高1184m、遊歩道は山頂を巻いているので、適当なところから適当に標高の高い方へ高い方へと登っていく。
たぶんここが山頂かなと思った場所には、小さな祠と小さな山名板があった。
のんびり歩いたのでずいぶん時間がかかったけど、一日中だれにも会わない静かな山歩きだった。
2024年12月