納豆キムチ味噌ラーメン
盛岡の麺料理というと、わんこそば・じゃじゃ麺・冷麺の盛岡三大麺に注目が集まるが、それ以外にも特徴的で美味しい麺料理がいくつもある。納豆キムチ味噌ラーメンも、そんな盛岡の隠れた名物麺のひとつだ。
テーブルに置かれた南部鉄器の鍋は濃厚な納豆臭を発している。鼻を近づけると臭うというレベルではない。顔を背けても臭ってくる。なんなら運ばれてくる途中から臭いだけ先に来ていた。店に入ってきた男性が、すごい臭いだな…とつぶやいた。
スープを飲んでみる。意外なことに上品だ。納豆は固形ではなく、すり潰されてスープと一体化している。これは納豆汁の手法だな。キムチは盛岡冷麺と同様に大根のカクテキだった。真っ赤だが、見た目ほどには辛くない。もやしに存在感がある。麺より多いのではないかと思われるくらいの量だ。納豆キムチ味噌スープでもやしを食べすすめていくと麺が現れる。細めのちゃんぽん麺のようなストレートの丸麺だった。
味噌ラーメンに納豆とキムチをぶち込んだジャンクなB級ラーメンを予想していたが、予想は完全にハズレた。すり潰した納豆の旨味、味噌のコク、カクテキの辛味と酸味が、やり過ぎにならない絶妙のバランスで調和している。上品な味だった。
いつか納豆キムチ味噌ラーメンが盛岡三大麺と肩を並べて、盛岡四天王になる日が来るかもしれない。