自分の歩く道は、自分自身で決める – 木曽駒ヶ岳 / 宝剣岳

あれ?雪少なくね?

カールの急登を登り切ると、目の前に広がる真っ白な稜線…と思ってたのに肩透かしです。いちおう多少は雪も残ってるけど、歩くのはほとんど夏道やんこれ…。

菅の台のバス乗り場にもロープウェイ駅にも、ピッケルアイゼンは最低装備ですって注意書きががあちこちにあったので、けっこう身構えて登ってきたのに…。

千畳敷駅から外に出たカールへの降り口には、ピッケルアイゼン付けてないとこの先は行ってはダメだって張り紙があったので、素直にそこで装着したのに…。

確かに千畳敷カールには、まだしっかり雪は残ってました。でも、暖かい日の光で緩んだ雪はザクザクで、滑っても下まで落ちていくことはないだろうし、ピッケルよりストックの方が楽なんじゃないかなと思いつつ登りました。

そうして稜線に出てみると、こんな状態で…。

しばらくそのまま歩きましたが、どうにも歩きにくいのでアイゼン外しました。見渡す限り多少の残雪はあるけれど、あの程度ならアイゼンなしでもなんともないでしょう。

中岳を超え、木曽駒ケ岳の山頂を踏み、再び分岐点までもどってきました。

次はあっち側へ向かいます。残雪の宝剣岳へ。

岩も見えてるけど雪もあるし、いちおう再びピッケルにアイゼンを装備しました。宝剣へ続く分岐点には、冬に登るなら登はん技術がないと云々…と脅し文句の書かれた看板もありましたし…。

そうして、雪の残る稜線を登った先の岩場は…岩が丸出しでした…。

ピッケルは邪魔だしアイゼンはガチガチ当たって歩きにくいし、これじゃあかえって危険なんじゃね?

装備に対する注意喚起はあってもいいけれど、なんでもかんでも重装備にしなくちゃダメだ的なのは如何なものかと。過保護というか、責任回避的というか…。登山っていうのは、本来的には自由な行為なのだから、なにを使ってどこを登るかは、登る本人の裁量に任せてほしいとも思います。

まあ、お役所的にもロープウェイ会社的にも、そういうわけにもいかないのはわかりますけどね。なにかあったら、責任どうのこうの追求されますからね。窮屈な社会ですよね。

自己責任という言葉が虚しく空回りする国JAPAN

そうして、思いがけなくあっさりと宝剣岳の山頂に到着しました。

さらに先の、初めて目にする稜線。檜尾岳空木岳南駒と続く中央アルプスの山並み。すっごく気持ち良さそうな稜線。

ここ歩いてみたいなあって気持ちがぐんぐん湧いてきます。

心の準備もできてないし時間もないので、先へ行きたい気持ちを抑えつつ、登ってきた道を引き返しました。

乗越浄土から千畳敷カールを下ってロープウェイ駅へもどると、そこは朝とは全く違う雰囲気に変わっていました。

明らかに間違いなく山には登らない格好の人たちがたくさん。完全に観光地です。

これは確かに、過剰な注意喚起もいたしかたないかなと。

ほとんどのかたは、ロープウェイで登ってきて、駅の外の景色を見て、またロープウェイに乗って帰るんでしょうが、中には無謀な人もいるでしょうからね…。うっかり雪山に突っ込んでしまったり、うっかり宝剣岳に登ってしまったりした人が救助要請することもなくはないのでしょう。

遭難防止対策協会のみなさまのご苦労が偲ばれるのでした…。