日本で海岸線から一番遠い地点へ

「海から最も遠い地点はどこですか?」

地図と測量の科学館の夏休み相談会で出たこの質問に、国土地理院の専門家は即答できず、持ち帰って後日回答することになった。「日本で海から一番遠い地点」そう聞いて思い浮かんだのは、北海道の荒野だったがさにあらず、それは長野県の山中にあった。

測定方法は専門的で理解できなかったが、その地点は北緯36度10分35.87秒、東経138度34分51.35秒、長野県佐久市の山間部にある。最寄りの海までは114.853km。ちなみに日本で海から二番目に遠いのは、十勝連峰美瑛岳の東8km地点、最寄りの海まで108.2kmだ。

こういったことは、日本で海岸線から一番遠い地点へ行くと、案内板に記されている。そう、案内板があるのだ。一種の観光地である。

観光地とはいえ山中なので、それなりに歩かなければならない。かつては整備されていたであろう登山道も、ところどころ崩落している。

最後は沢を遡っていく。高尾山や丹沢の整備された登山道と比べると、はるかにワイルドである。大雨の後などは多少の危険もありそうだ。

駐車場から歩いて1時間、沢を遡り尾根に出るほんの手前に、日本で海から一番遠い地点はあった。

いまここにいるということは、いま日本中の誰よりも海から離れていることになる。それはなんだか不思議な気分だ。

日本で海から最も遠い男、つまり、日本で最も山男になった瞬間であった。

西上州, 中部

Posted by azuwasa