新鮮な一日 – 苗場山

尾根上の小ピークを超えると、雄大な山容が姿を現した。

あれが苗場山だ。なんともなんともかっこいい。

穏やかで見晴らしのよい道を登っていく。

最後の急坂を上がると、広々とした湿原だった。実に広く平らである。これが2000m以上の山の上だとはにわかに信じられない光景だ。樹林帯ではなく湿原なので、広さや平坦さがよくわかる。

谷川岳方面から眺める苗場山は、頂が平らな台形型をしていた。いま、その山頂に立っているのだ。

透き通った空気を吸い込んで、湿原の木道を散策する。秋の色に染まり始めた草木は緑とオレンジのまだらもよう。ところどころの池塘が風景にアクセントを添える。

いつもの南アルプスや奥秩父とは違う。森林限界上の高山とも、原生林の樹林帯とも異なる軽やかな山だ。厳しさや重さはここには見当たらない。いるだけで笑顔になれる場所だ。

歩けるところはひと通り歩いてから下山した。

新鮮な一日だった。

行ったことない山域の登ったことない山に登るのは、いつでもとても楽しい。