冬のはじまり – 北沢峠

広河原からのバスは冬季運休期間となり、仙流荘からのバス便のみが出る最後の週末。昨年に続いて北沢峠へ行き、甲斐駒ヶ岳へ登りました。

土曜の最終バスで北沢峠着。一日目はテント場までです。

すでに小屋も閉まっていて、テントは数張りだけ。夏の喧騒とはうってかわって、寂しいくらいの静けさです。

二日目は夜明け前から歩き始め、仙水峠で朝を迎えました。

オレンジ色に染まる甲斐駒ヶ岳に摩利支天。

朝日に光る早川尾根。

急坂を登って行くと見えてくる、仙丈沢カールの優美な曲線。

朝焼けの空はしだいに透き通った青にかわり、南アルプスの秀峰が輝いています。

すべての瞬間が、ため息の出るほど美しい。

駒津峰まで登ると、甲斐駒ヶ岳が目の前に。

それにしてもすごい天気です。

うっすらと雪の積もった道を登っていきます。里はまだ秋でも、山の上は冬のはじまり。

立ち止まり、振り返り、なかなか進みません。

息を切らしてたどり着いた山頂には、いつもの祠と雲ひとつない青空。

他にはだれもいません。時間と空間のすべてをひとり占め。こんな贅沢はなかなかできません。

いつまでもいたいけど、下山の時間がせまってきます。下山してテントを片付け、今シーズン最後のバスに間に合わなければなりません。

また来年も来よう。

立ち去りがたい想いを残して、登ってきた道を下りました。