冬の赤岳 again

もうすっかり暖かくなり、山の雪も溶けてしまった三月のある日。

高い山には再びまとまった雪が降り、白く冠雪しているという情報を得て、それでは行かなくちゃと赤岳へ向かいました。

おそらく今シーズン最後の雪山らしい雪山となることでしょう。

ガチガチに凍結した南沢を歩き行者小屋へ。

青空と雪山にテンション上がります。最高の一日になりそうです。急いで準備をし、地蔵尾根から登ります。

地蔵尾根の上部は、降り積もった雪でトレースが消えていました。やわらかな新雪の急斜面は、足を取られてなかなか登りません。ルートを見失いがちになりながら、とにかく上を目指します。これなら厳冬期のほうが楽かもしれません。

そうして、苦労して登った稜線からの風景。

なにも言葉が出ません。

なんども見ている景色だけど、なんど見てもいいものです。

ゆっくりゆっくり噛みしめながら登ります。

気温は高く、歩いていると暑いくらい。しかし、ときおり吹き付ける強風にさらされると、一気に体感温度が下がります。

ふり返ると、遠く蓼科山までつづく稜線が見えました。

青い空、白い山、人も少なく静かです。

阿弥陀岳に権現岳、南アルプスも北アルプスも見えています。

時間の許す限り山頂にとどまり、静かな一体感を味わいました。

今シーズンは登る機会の訪れなかった冬の赤岳に、シーズン最後に思いがけず登ることができました。