まごころラーメン – 佐野

佐野市内には約140軒のラーメン店があるといいます。

佐野市の人口が12万人なので、佐野市民858人当たり一軒のラーメン店があることになります。これが多いのか少ないのかよくわかりませんが、町のあちこちにラーメン店があるのは確かです。

佐野のラーメン店で出てくるのは、基本的にいわゆる佐野ラーメンと呼ばれるラーメンです。手作り感が丸出しの不揃いでなよなよした麺と、体に優しい味のする透き通ったスープ。なんというか、もうめちゃめちゃ美味しくて…というものではありませんが、じんわり優しい味わいなのです。お婆ちゃんの作る料理のような。まあ、お婆ちゃんは普通はラーメン作ったりしませんが。

時々、なんとなく食べたくなるラーメンです。かつては、東北方面に出かけた帰りに立ち寄ったりしていましたが、最近はずっとそんな機会もありませんでした。なので、暇だし天気もいいし、圏央道も開通したので、ぶらっと行ってみることにしたのです。

佐野ラーメンの唯一最大の問題点は、有名店には長蛇の列ができるところです。人口858人当たり一軒のラーメン店があるというのに長蛇の列です。まあ、休日は市外からも多くの人が訪れますからね。いまはなき「とかの」では、開店前に並んだにもかかわらず、ラーメンにありつくまで一時間以上かかったこともあります。

この日も、M田やY和は目眩がするほどの長い長い行列ができていました。三時間の山歩きのあとでは、さすがに一時間以上も並ぶ気になれず、しかたがないのでぶらぶらして他の空いてるお店を探すことにします。

適当に歩いてもすぐに他のお店が見つかる程度にはラーメン店が点在しています。なにせ市内に140店ですからね。空いてるところはいまいちかというと、そんなことはなく、このラーメン店密集地帯で営業し続けていられるのだから、じゅうぶん美味しいものをいただけます。

佐野のラーメン店でいいなと思うことのひとつに、餃子の出てくるタイミングがあります。

餃子を注文するとラーメンと同時に出してくれるのです。ラーメンだけ先に出てきて、食べ終わりそうになったころに餃子が…なんてことはありません。餃子の焼き上がるタイミングを見計らってラーメンを作っているのでしょう。

まあ、これが回転率を悪くしている一因ではありますが、来てくれたお客さんに最大限満足してほしいという心も感じるのでした。全てのお店でこうなのかはわかりませんが、いままで餃子も注文したところでは、必ず同時に出してくれました。ラーメンだけ先に出てくるお店があったら、それは佐野ではもぐりだと思われます。

丁寧に作られたラーメンと暖かい気遣いで、お腹も心も満たされるのでした。