山とうどんと城跡 – 倉見山 / 勝山城跡
夏だ。暑い。蝉がうるさい。無数の蝉の甲高い鳴き声が森に鳴り響いている。
山道は密生する木々に覆われている。木陰が多くて直射日光は避けられているものの、太陽はギラギラと照り付け、気温は高く湿度も高い。
風は通り抜けない。とめどなく汗が噴き出す。山頂までは、とにかく一方的に登りだ。

ひさしぶりに山梨の山に来た。適当に選んだのは都留市の倉見山。選んだ理由は、家から遠くないとか標高が手頃だからとか、そんなたわいもないものである。
誰にも会わない。静かだ。向かいの三ツ峠山は、今日も多くの登山者で賑わっていることだろう。だが、こちら側には誰も登って来ない。

蝉の鳴き声は相変わらず鳴り響いているが、いつのまにか気にならなくなっていた。なんだか静寂に包まれているような心持ちになる。
山頂の古ぼけた案内板には、倉見山が「富士八景」のひとつであることが記されていた。

富士八景? 他の七景はどこだろう。案内板には他の場所のことは書かれていない。スマホで検索してもわからない。倉見山のようなマイナー山を八つの内のひとつに加えるくらいだから、相当マイナーな八景なのだろう。
富士八景なんていうと広々として雄大な景色をイメージするが、倉見山から見えるのは、生い茂った木々の葉の間から見る慎ましやかな富士山だった。

ひとまず下山して、昼ごはんを食べに市内へ向かう。食べるのはもちろんうどんだ。
吉田のうどんは富士吉田市だけではない。隣接する都留市にも、うどん屋は何軒かある。地元民を相手に長年営業してきた店ばかりだ。美味しくないはずがない。観光客が訪れることは稀で、雰囲気はローカルの極みである。

お腹が満たされたら午後の部へ。市内を抜けて城山へ向かう。
街の外れからわずかに登ると勝山城跡だった。想像したよりずっと広い、そして見晴らしがとても良い。

ところで、ここが城山の山頂ってことでいいのだろうか。これで倉見山と合わせて、都留市二十一秀峰完登なのだが。
山頂標識もなければ案内板もない。そういえばこれまでの山でも、都留市二十一秀峰に関するものはまったく見ていない気がする。いちおう21の山を選んではみたものの、話題にもならないし観光客が増えるわけでもないから放置されてるのだろうか。

ここで終わりということにして、眺めの良い場所に座ってのんびりした。
目の前に見えるはずの雄大な富士山は、雲に隠れて見えなかった。
2026年8月





