庄内、夏の味覚 – 麦切り / むきそば

山形の麺類というとラーメンばかりが注目されるが、もちろん蕎麦もうどんも食べる。地域に根ざした蕎麦やうどんは庄内にもある。酒田ラーメンだけではないのだ。

麦切り

蕎麦粉を練って切ったら蕎麦切り、小麦粉を練って切ったら麦切りだ。その名の通り切り麺である。

平野の多い庄内では米だけでなく麦作りも盛んだった。山間部にある山形の他地方では蕎麦切りが、庄内では麦切りが食べられるようになったのだろう。うどんとどう違うのかと思うが、麦切りと比べると、うどんは太くて丸い。麦切りは細くて平たい麺だ。とはいえ冷麦と比べるとだいぶ太い。

茹でた麦切りを水で〆て、麺つゆにつけて食べる。添えられるのはワサビではなくカラシだ。喉越しよくツルツルと入っていく。

通常は冷やして食べるもので、温麺にして食べることはあまりないらしい。その食べ方から、主に夏の食べ物である。

むき蕎麦

殻をむいた蕎麦の実を、粉に引かずに粒のまま茹でて、冷やした出汁をかけて薬味とともに食べる。

蕎麦の実はぽくぽくした食感で、味わいは素朴だ。

田舎の原始的な食べ方だろうと侮っていたが、実際に食べてみると繊細で上品で、しみじみ良い。

むき蕎麦は、京の禅寺の精進料理が北前船で庄内に伝わったものだという。禅寺の精進料理らしい、素朴でありながら洗練された食べ物だった。