祈りの山々 – 風雨雷山 / 笹目倉山 / 鶏鳴山

風雨雷山、かっこいい名前の山だ。背の高い針葉樹に囲まれた山頂は薄暗く、神秘的でもある。三基の石祠が並んでいるのは、それぞれ風神、雨神、雷神を祀っていたのだろうか。

石祠に御神体は無く、里の神社に遷座されている。山頂までかなりの急登が続いていたので、高齢化が進んだ現在では登拝は難しくなってしまったようだ。

それでもここには、かつて信仰を集めた山の余韻が残存している。

風雨雷山を過ぎて、針葉樹の山道を進んでいく。次の山は笹目倉山だ。

ここにも二基の石塔を備えた立派な社があった。こうして土地の山々を登っていると、日本の山は信仰の源だとつくづく実感する。

笹目倉山から稜線を進んで鶏鳴山へ向かう。

深い針葉樹の森を歩いていたのが、いつの間にか葉を落として明るい広葉樹林帯に変わっていた。それとともに、道が崩れがちで不明瞭になってきた。

鶏鳴山の山頂は明るく開けていた。朝からずっと暗くて深い、そして荘厳な山々を歩いてきたので、なんとなく気持ちがホッとする。

山頂の少し先からは、雪を冠した日光連山が、落葉した木々の向こうに輝いていた。

さて、ここから麓へ降りる予定だったのだが、下降地点がよくわからない。地形図と地形を見比べて、ここしかないだろうという地点を下ってみた。

なんとなくあった踏跡はすぐに消えてしまい、ザレて崩れた急斜面にソールが滑る。ロープが欲しい。ずっとイージーモードだったのが、いきなりのハードモードだ。

慎重にゆっくり降りて危険地帯を脱し、麓の集落に下山した。

ここから出発地点までは田舎道を歩いて戻る。振り返ると集落の背後に鶏鳴山が聳えていた。

しばらく歩くと前方に、優美に峙つ山塊が見えてきた。一番高いのが笹目倉山だ。風雨雷山は右側の尾根上にある。

こうして里の村を見守るようにして立つ山々は、山の恵みをもたらすとともに災いの源でもあり、神の居所として奉られるに相応しい存在なのである。

2026年2月