秋色の洪水 – 剣ノ峰 / 角落山

日が昇ると山が輝き出した。赤に黄色に色付いた木々の葉を透かして、陽の光が降り注ぐ。色の洪水だ。

歩き始めてすぐにこの景色だから、感激したり写真を撮ったりで忙しく、なかなか先へ進めない。

それにしても迫力のある紅葉だ。

霧積温泉の紅葉はすごいよと聞いて以来、秋になったら行きたい行きたいと思いつつなかなかタイミングが合わなかったのだが、数年越しで来ることができた。

とりわけ目を引いたのが、青空に広がる深紅の大木。こんな立派な紅葉にはなかなかお目にかかれない。この木を見るだけでも、ここまで来た価値があった。

十六曲峠からは鼻曲山ではなく剣ノ峰へ向かう。

標高を上げると紅葉は終わっていた。いまの見頃は1000m付近のようだ。1200mまで上がると、すっかり葉は落ちていた。もう少し早く来ればよかったかな。

剣ノ峰から先の下りはなかなかの荒れ具合だった。崩れかかった崖を降りていくようで、破線とはいえこれが一般ルートでいいのだろうかと思うが、いいのだろう群馬だから。

下り切ってしまえば、角落山までは比較的整備されている。

展望が開けると浅間山が見える。やっぱり浅間山はひときわ大きくて威厳がある。手間の鼻曲山や右手の浅間隠山もとても良い山だが、浅間山と比べると明らかに格が違う。

角落山の紅葉もすっかり終わっていた。残念ではあるが、葉が落ちた木々の間から見える景色も悪くはない。

さて、下山である。ピストンなので来た道をもどる。あの荒れた崖は、登りならなんてことないだろう。それよりも最後に通過する真っ盛りの紅葉がいまから楽しみだ。

2022年11月