山のトイレについて考える – 鉱石山

葉を落とした木々の間を冷たい風が吹き抜ける。

他には誰もいない。晩秋の静かな里山だ。

そんな寂しい山の山頂には、なぜかトイレがあった。

えっ、なんでこんなところに??

簡易トイレだが、コンクリートで基礎が設えてある。汚物処理はどうなっているのだろう。そもそも、こんな登山者のほとんどいない山に、なぜトイレを設置することになったのか。

人気の山でも、山頂にトイレがあることはほとんどない。高尾山にだってない。陣馬山にはあるが、あれだって山頂からは一段低い場所だ。しかしこのトイレ、最高地点にある

鉱石山という名の通り、以前は鉱石の採掘が行われていて、トロッコ軌道の一部が今も残っている。とはいえ、ほとんど自然に帰っていて、その当時のトイレではなさそうだ。そもそもトイレが山頂にある必要はない。

なんだか気味が悪く、内部を覗いてみる気にはなれなかった。

鉱石山から木賊山をピストンし、下山は登りとは違うルートを取った。

途中の小ピークには山名標識があり、どんな名前の山なのかなと見てみると、そこには「休憩所」とあった。

休憩所?そんな名前の山なわけがない。だが、周囲を見渡しても東家があるわけでもない。ベンチすらない。つまり地べたに座って休憩しろということか。いったい誰が誰に向けた標識なのだろう…。

「休憩所」から10分も下ると、またトイレ!!!

登山道沿いにトイレが三つ。特に何があるわけでもないただの登山道の脇にトイレだ。強いて言えば平坦なので設置しやすかったのかもしれない。

それにしても、トイレのあった鉱石山の山頂から30分も歩いてないのにまたトイレとは、ますます意味不明である。

今度は恐る恐る内部を覗いてみた。写真も撮ったが、それがどんなだったかは、これから訪れる人の楽しみのために、ここには記さない。

変わった山だった。

あまりに謎なので、帰宅後に「新日本山岳誌」を開いてみたが、鉱石山の記載は無かった

謎は深まるばかりである。

2023年11月