激登りと腐った梯子 – 南木曽岳

体が重い。まったく登れない。二日連続の山行となり、前日に20km歩いた疲れがまだ残っているのだが、それだけが理由ではない。登りが激し過ぎるのだ。急登という言葉では生やさしい。激登りだ。崖をよじ登っていくかのような道がずっと続いている。

歩くのが困難な箇所には梯子がかけられているが、木製の梯子は腐りかけていて、体重を乗せていいものかと不安になる。そんな梯子が連続しているのだ。体力とともに精神力も削られる。

重力に逆らって重い体を持ち上げる。休憩したいが休憩できるような場所がない。激登りを一方的に登っていくしかない。南木曽岳なら4時間程度で終わるから、前日の疲労が残っていても大丈夫だろうと来てみたが、甘い考えだった。こんな激しい山だとは思ってもみなかった。

崖を登り続けて、ようやく僅かに平坦なスペースを見つけ、たまらず倒れ込んだ。

横になって休んでいると、息を切らせて登ってきたソロの男性が、「ずいぶん急な登りですね…」と話しかけてきた。そう、これはだれが登っても激しい登りなのだ。ぐったり疲れた体で来るところじゃない。

長々と休んでいたが、登りはまだまだ続く。重い腰と重い体を上げて、また登らなければ。

疲労困憊で登頂した山頂は、うんまあこんな感じだろうなと予想した通りの地味な山頂だった。まあいいだろう。とにかく疲れた。

南木曽岳の登山ルートは一方通行の周回コースになっている。あの激しい崖登りですれ違うのは危険を伴うからだろう。

下山路はひとまず穏やかに始まった。こういう道なら気楽に歩ける。避難小屋の先には展望の良い場所もあった。

最後までこんな感じならいいなと思っていたが、そんな甘い話はない。登りも下りもたいして距離は変わらないのだ。登りと同じくらいの急角度で下るしかないだろう。

摩利支天を過ぎると、傾斜が明らかに急になった。腐りかけの梯子もある。それでも重い体を持ち上げなくていいだけ、登りよりはマシだ。

這々の体で登りルートと下山ルートの分岐点まで降りてきた。あとは登山口までだらだら歩くだけだ。

ホッとして大きなため息をついたら、どっと疲れが押し寄せてきた。

2026年8月