早池峰と薬師岳

河原の坊に車を停めて舗装路を登っていく。登山口の小田越まで車で行けるのだが、小田越には駐車場が無いので歩いていくしかない。さすが百名山、他にもけっこう歩いてる人がいる。

40分歩いて小田越に着いた。他の登山者はみんな早池峰へと向かうが、私が登るのは反対側の薬師岳だ。むろん後から早池峰にも登るのだが、薬師岳を先にしたのには理由がある。

朝から曇り空で天気はあまり良くなく、時間の経過とともに悪くなっていく予報だ。それなら先に早池峰へとなるところだけど、向かいの薬師岳から早池峰の姿を眺めるほうを優先した。それに早池峰を先に登って天気が悪化したら、薬師岳はもういいかってなるのが目に見えている。

早池峰へ向かう登山者たちを横目に、ひとり薬師岳への登りに取りかかった。

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あっさり着くかと思っていたけど意外と手強い。傾斜はあるし、とにかくずっと登りだ。山頂に到着したときには、だいぶ疲労していた。

谷を挟んで向かい側に早池峰が見える。なかなか立派な山容だ。これが見たくて登ってきた。天気がもってよかった。

ところで早池峰だけど、登るのけっこうたいへんそうじゃね?

その予想に間違いはなかった。いったん小田越に下山した後、早池峰を登り始めたのだが、険しい登りが一途に続く。薬師岳よりずっと大きな山だから、登る距離もずっと長い。

向かい側から見ていたのでわかっていたが、森林限界を超えると岩石地帯になる。小雨がぱらぱら降ったりやんだりしていて、濡れた岩はやたらと滑る。登りはまだしも、下りが思いやられる。

ていうか、早池峰がこんなにたいへんな山だとは思ってなかった。はっきり言ってナメていた。「はやちね」という言葉の響きから、優雅でたおやかな山を想像していた。美ヶ原や八幡平の仲間だと思っていた。平坦な高原を散策するつもりで来ていた。

が、しかし、早池峰は「原」でも「平」でもなく「峰」だった。険しい岩の登りが続く。

稜線に上がってからは比較的おだやかな道を歩いて山頂に着いた。

さすが百名山、あいにくの天気にもかかわらず、登山道も山頂も多くの登山者で賑わっていた。

2025年8月