ハントンライス
昔ながらの洋食店では、時にまったく一般的ではない謎料理をメニューに見ることがある。かつての洋食黎明期に不確かな情報とありあわせの食材で西洋料理を再現しようとして生まれた料理なのだろう。海外旅行も身近になり、情報はあふれ、世界中の食料品が手に入る現代ではもう生まれない、古き良き時代の生き残りである。
町の洋食店のメニューの片隅に人知れず存在している謎洋食もまだまだあるはずだが、世間に発見されて名物料理として広く認知されたものも多い。
金沢といえばハントンライス、これは謎洋食界では全国認知度の高い料理である。
ケチャップライスに薄焼きの卵を重ね、白身魚と海老のフライをトッピングしたところへ、ケチャップとタルタルソースをどばっとかけている。
見た目の通りの味がする。
元はレストランのまかない料理だったという説もあり、簡単に作れてサッと食べられてお腹もふくれて、まかないには適してそうだ。トッピングのフライがやけに小さいのもまかないっぽさがある。
ハントンライスの名前の由来はよくわかってない。ハントンの意味も不明だ。適当に名付けた元まかない料理が、いまや提供店も増えて金沢を代表する料理のひとつになっている。