初めての山はいつだって新鮮 – 男山 / 天狗山

山梨を通過して長野に入り、信濃川上駅前に車を停めた。ようやく緊急事態宣言が解除されたので、奥多摩以外にも行くことができるようになったのだ。

夜明け前の静かな街を抜けて千曲川に架かる橋を渡り、山の方へと歩いていく。

しばらく進むと目指す山頂が見えてきた。まあまあ険しそうな登りだ。

天気は上々。葉を落とした木々の向こうには、雪を戴く八ヶ岳。雪山なんて久しぶりに見た気がする。

初めて歩く山域はいつだって新鮮だ。それが自粛明けなら、いっそうである。

稜線に上がり、急な山道を少し登ると男山の山頂に到着した。

ここに来て初めて視界が大きく開ける。

目の前には八ヶ岳、秀麗な南アルプス。瑞牆山と金峰山の背後には富士山。北側には浅間山。

どの山もいつもとはちょっと違う角度の眺めになるのが目新しく楽しい。

男山から天狗山まで稜線を歩く。

急登や岩稜もあるが、特別に危険なとこもなく、適度に緊張感を持って快調に進んでいく。

天狗山の山頂では、男山越しの八ヶ岳を眺めつつ、湯を沸かして大休止した。

だれも登ってこない。ただ山と自分だけ。いい時間だ。

下山に使う予定の登山道が完全に消滅していたので、峠越えの県道に出て、大きく迂回して舗装路を歩いてもどる。

春を待つ畑の間を通り、山を眺めで歩いていく。野焼きの炎が遠くに見える。煙がここまで漂ってくる。軽トラが走り去っていく。

バス通りに出たが、このまま歩いていく。いまは目に映るすべてが美しいから。

2021年3月

奥秩父

Posted by azuwasa