奥多摩マイナー尾根日和 – 勝峰山 / 白岩山 / 日の出山 / 三室山 / 愛宕山

武蔵五日市駅で電車を降りると、登山の人たちがたくさんいた。ここからいったいどこの山に登るのだろうと不思議に思っていたら、全員がバス乗り場に並んでいた。まあ、そうだろうね。私は今日も奥多摩のマイナー尾根を登る。

駅から北へと舗装路を歩いていく。地図を見ると1.5kmほど歩いたところに登山口があることになっている。以前に仕事でここらのエリアを担当してたのでそれなりに詳しいのだが、はたしてそんなところに登山口なんてあっただろうかと、少々訝しみながらも信じるしかない。

登山口は、舗装路から分岐する未舗装の車道であった。最初はうっかり通り過ぎてしまったが、よく見ると地面に小さな道標があった。しかしそれよりずっと大きくて目立つ立看板には、関係者以外立入禁止とある。どうやらこの未舗装の車道を進んでいくとセメント会社の工場に行き着くらしい。逡巡したが、ここから入るしかなさそうなので、行ってみることにした。まあ、道標もあることだし。

100mも進むと登山道の案内板があり、ホッとしつつ山道に入った。しかしすぐに林道に出てしまい、林道を登っていくとそのまま広々として整備された登山道になった。

そして、あっという間にあっけなく勝峰山に到着した。多摩百山98座目だ。残りの2つは1日で登れそうなので、これでリーチである。

将門伝説の案内板を読んだり、展望台で景色を眺めたりしてから、さらに上へとロンデン尾根を登っていく。勝峰山までは公園のような道だったが、ようやく山らしくなってきた。

梵天山を超えて白岩山に到着した。ここへは、隣りの金毘羅尾根を登った時に立ち寄ったことがある。ここも多摩百山のひとつだ。

こんなとこに登って来る物好きはそうそういないので、狭いスペースを占領して、ゆっくりと食事をした。

白岩山の先で金毘羅尾根と合流する。ここからはメジャーな登山道になり、登山者にもぽつぽつ出会うようになる。途中の麻生山も多摩百山のひとつだが、過去に登ったことがあるし、まあまあの急登なので、今回は巻道を進んだ。

つかれたころにはけっこうキツい最後の登りを登り切ると日の出山の山頂だ。ここはさすがに多くの登山者が思い思いに過ごしていた。

ずっと以前、山登りってのは地元の山に登るもので遠征するなんて考えのまったくなかったころ、何度も訪れた山頂である。素晴らしい山々に登り過ぎて、いまではすっかりスレてしまったけど、あのころの純粋な気持ちは忘れたくない。ひさしぶりの日の出山の山頂は、ホロリと甘酸っぱい気分だった。

この日の出山ももちろん多摩百山である。麻生山は巻いたが、ここまでの登りで4つの多摩百山に登れることになる。隣りの尾根の金毘羅山も含めれば5つだ。350あると言われる多摩の山の中から100の山を選んだだけあって、けっこう密集している。

日の出山からは吉野梅郷へ降りるのがかつての定番コースだったが、今回は途中で分岐する愛宕尾根を下る。

山岳会の選定した多摩百山とはまた別の、書籍として出版されている多摩100山というのがあって、愛宕尾根の愛宕山はこの多摩100山のひとつなのだ。そちらにもついでに寄っていく。

その前に、三室山にも登っておく。すぐ横を何度も通過しているが、登山道は山頂を巻いてしまうのでピークを踏んだことがない。この三室山も愛宕山と同じく多摩100山のひとつである。

ちなみに、日の出山と金比羅山は多摩百山であると同時に多摩100山でもある。今回は巻いた麻生山も両方に選ばれている。しかし、白岩山と勝峰山は多摩百山のみ、愛宕山と三室山は多摩100山のみである。このあたりの選定理由はどうなっているのだろうか。

愛宕山は山頂全体が立派な神社であった。麓の愛宕神社の奥の院であるようだ。

愛宕山を過ぎて、麓へと下っていく。山中には八十八箇所巡りがあったりと、標高500m以上の山の中であるが、ここはもう神社の境内のようである。

里の愛宕神社まで下ると、桜の花が咲き誇っていた。

あとは二俣尾駅まで歩いて青梅線に乗るだけだ。どこかで寄り道して、お酒を飲んでから帰ろう。

2021年3月