Here I come again – 赤岳

さあ行くぞ。もう一度。

先週、悪天候のため撤退した赤岳に今週も登る。

行くかやめるか、どうしようか一週間迷った。

天気予報はくもりのち晴れ。一日中爆風。

二週連続の撤退はやっぱり避けたい。少々天気が崩れても登れる山に登ってこようとも考えた。

でもそれも、なんだかもやもやする。

やっぱ行くしかないか。

分厚い雲におおわれて灰色だった空も、行者小屋へ向かうにつれて青い部分が広がってきた。

雲の動きが速い。稜線は先週以上の強風だろう。

でも大丈夫。空が青ければなんとかなる。

稜線の風は予想通り厳しく、降り積もった新雪が吹き飛ばされ吹き付ける。キラキラ輝く細かい氷の粒がビシバシ顔に当たる。

横殴りのダイヤモンドダストだ。

ゴーグル内側の曇りが凍ってしまい、使い物にならない。バラクラバも外したら口周りがガチガチに凍ってしまった。吹き付ける氷の粒にたまらず目をつむると、上と下のまつ毛がくっつく。

それでも一歩一歩、山頂へと近づいていく。一歩踏み出せば、一歩前に進む。それが登山のいいところ。

クラストした稜線は雪が吹きだまった尾根より歩きやすかった。ビシバシ顔に当たる氷の粒を除けば。

二週間がかりでようやく登頂。これで先週からのもやもやも晴れた。

来週はすっきりした気持ちで、また行きたいところへ行こう。