深い山 – 朝日岳
ひたすら登る。けっこうな急登だ。
樹林帯で景色は見えない。木々の隙間からチラリと覗く空は真っ青に晴れ渡っている。
こんないい天気なら、もっと展望のあるとこへ登ればよかったなと思い、すぐに思い直した。もしも天気がいまいちだったら、ひたすら登る樹林帯の急登にメゲてただろう。
冬の間の運動不足で体が重い。重い体を持ち上げて、じわりじわりと標高を上げる。
朝日岳の山頂はまだまだ遠い。
新南部の山々が見えた。ここまでほとんど展望がなく、ようやく目にした山並みだ。
いいな、新南部。今年はどれくらいあの稜線を歩けるだろう。新南部にはロマンがある。
ようやくたどり着いた山頂は、木々に囲まれていた。
どうやら今日は展望のない一日のようだ。だが、こんな山も悪くない。
樹林の山頂に腰を下ろし、しばらく休憩してから、登ってきた道をこんどは下り始めた。