ベタナマ – とんこつラーメン放浪記8

長浜ラーメンにはベタナマという符牒がある。ニンニクマシマシヤサイマシやカタメオオメコイメみたいな、知らなきゃできない注文方法のひとつである。

ベタは脂多めでナマは生麺ではなく、博多ラーメンで言うところのバリカタに当たるらしい。普通が一番美味しいとは思うものの、ものは試しと呪文を唱えてみた。なにせ客の多くがベタナマを唱えているのだから。

出てきたラーメンを見て、そしてひとくち食べて、コールが通らなかったのかな?と思った。特に脂が多いとも麺が固いとも感じなかったからだ。

しかしよくよく見てみると、確かに脂がしっかり浮いているし、麺をすすると口の周りがベタつく。麺も食べづらいほど固くはないが、中心には芯が残ったアルデンテになっている。爆食系ラーメンの脂ギトギト麺ガチガチと比較すると、ベタナマはずいぶん上品である。

確認のために麺普通も食べてみた。こちらは芯まで水分が吸収されている。極細で低加水の博多ラーメンをこれほど完璧に茹で分けるのは職人技だ。

東京で食べるなんちゃって博多ラーメンだと、この茹で分けが未熟で生麺みたいなカタがでてきてうんざりすることも多いが、これならたまにはナマタマもいいかなと思った。

2025年12月