伊勢の台所 – 河崎

外宮から北へ2キロほどの距離にある河崎。

勢田川沿いに古い蔵の立ち並ぶ静かな町です。

かつてここは、伊勢で消費される物資の集積地でした。

諸国から船で運ばれた物資は伊勢湾から勢田川を遡り、ここ河崎で降ろされたのです。

伊勢神宮の参拝者が消費する多量の消費財は、河崎の問屋街がまかなっていました。お伊勢参りは河崎によって支えられていたのです。

東国から三河湾を船で横断してくる参拝者も、河崎で船を降りました。当時はたいそう賑やかな町であったことでしょう。

しかし、水運で栄えた他の多くの町と同様に、輸送手段の激的な変化により、河崎の役目も終わることとなります。

伊勢神宮は今日も参道を埋め尽くす人出でしたが、ここでは、誰ひとり通りを歩いていませんでした。