国道系どろどろ久留米ラーメン – とんこつラーメン放浪記 5
久留米ラーメンは博多ラーメンよりも豚骨が濃いという。スープの製法の違いで久留米は呼び戻しでうんぬんかんぬんみたいなうんちくを聞いたことはある。
でもまあ博多と久留米はたいして離れてないのだし、もともと久留米で生まれたとんこつラーメンが博多に伝わったとも言われているし、そこまで明確な区別はないのではないか。実際に東京で食べた久留米ラーメン二軒のうち、一軒は確かにスープがやや濃くてとろっとしていたが、もう一軒はあっさりめで普通一般のとんこつラーメンとあまり変わらなかった。
東京の久留米ラーメンが現地そのままなのか東京向けアレンジなのかはわからない。久留米ラーメンを知るには久留米でラーメンを食べてみるしかない。
久留米市内を中心に近隣に何店舗も展開している呼び戻しスープのチェーン店や東京に出店して連日大行列の人気店の本店も行ってみたかったが、今回訪れたのは丸星ラーメン、福岡から熊本、鹿児島と九州西部をつなぐ国道3号線上の、久留米から福岡へ向けて走り始めるとすぐに店がある。店の前後に大きな駐車場があり、反対車線側にも駐車場があって、まさに車で移動する人を当て込んだ典型的なロードサイド店だ。
ラーメンは見るからにどろっとしていた。どろっとして濃いが、味は見た目ほどくどくない。どちらかと言えばすっきりしている。濃厚だけど爽やかなポタージュのようだ。麺はやや太めで、スープも麺もいわゆる博多ラーメンとはだいぶ違う。東京で食べた久留米ラーメンと共通する要素も感じるが、丸星ラーメンのほうがだいぶ強い。強いけれど洗練されている。
卓上トッピングは白ゴマと紅生姜なのだが、それ以外にセルフのおかずが用意されていた。この日は肉じゃがに鶏団子と厚揚げの煮物、あとは漬物が2種類、これらがすべて食べ放題なのだ。
550円のラーメンを食べればおかず食べ放題は気前が良すぎる。まあだいたいの人は替玉するし、ご飯やいなり、かしわおにぎりを追加する人も多い。ラーメンをスープにしてごはんとおかずをいただくイメージだ。とはいえ替玉は100円でごはんは150円、いなりや塩おむすびやかしわおにぎりは200円台だ。千円足らずで満腹になる。
店の佇まいも調理のお爺さんも配膳のおばさまたちも、なにもかもが温かい。訪れた人を満足させたいオーラが充満していた。
国道沿いにあるこのタイプの久留米ラーメンを国道系というらしい。長距離ドライバーが主要客であり、こってりスープが特徴的なラーメンを食べさせてくれる。
国道系とは別に食堂系の久留米ラーメンも存在する。その名の通り食堂で提供されていて、国道系に比べればだいぶあっさりだという。焼飯とともに食べるのが定番スタイルらしい。残念ながら食堂系を食べる機会がなかったので、食べ比べは次回の楽しみにとっておく。
2024年12月