夢の中へ

旅をしていると不思議な時間がある。

朝靄で見通しの悪い山間に、不意に静かな街が現れた。無気味なくらい人の気配がなく、建物の輪郭はぼんやりとして、それはまるで夢の中の街のよう。

街を抜けると朝靄は消えて太陽が山の緑を照らしていた。

あれは現実だったのか、それともなにか別の世界への入り口だったのか。通り過ぎゆく旅人には確かめる術もない。

2024年12月

熊本県

Posted by azuwasa