甲州切妻突き上げ屋根の里 – 塩山上条

昨年新たに重要伝統的建造物群保存地区に指定された、山梨県塩山の上条集落。

この辺りにはちょくちょく来てましたが、ここは訪れたことがありませんでした。なので、重伝建に登録されたってニュースを見たとき、へえ〜そんな集落があったんだ〜と思ったものでした。

塩山から柳沢峠を越えて奥多摩へ抜ける幹線道路を下小田原で外れ、山へ向かって登っていくと上条に着きます。

いまでは集落まで車道が通っていますが、徒歩でしかたどり着けなかった時代の旧道がそのまま残っており、そちらを歩いて向かうこともできます。
旧道を行くと集落の手前で金井加里神社に行き当たり、境内を抜けて先へ進むと、視界の先に集落の全景が見えてきます。

屋根裏で養蚕を行うので、風通しと明り取りのために屋根の中央部に突き上げ屋根が飛び出した立派なお屋敷が、山の中腹の斜面上に段々に並んでいます。

切妻屋根の中央部を突き上げた、この地域独特の屋根です。塩山駅前の甘草屋敷も同じ形式です。

それにしてもどのお宅も立派な造りです。

日本中の山村に、立派な養蚕農家のお屋敷がいまでも残っています。山奥の農村でも立派なお屋敷が建てられたほど、生糸の生産ってのは儲かったのでしょう(経費がかかり過ぎて、身上をつぶすとも言われてますが…。)明治政府の国を挙げての一大産業だったのですからね。

どの家も茅葺をトタンで覆っていましたが、一軒だけ茅葺のままの建物がありました。

で、見に行ってみたら民家情報館という建物でした。おそらく後からトタンの覆いを取ったのでしょう。土日祝日はお休みという、なかなかやる気のない情報館でした。

町から近く、背後の山も低いので、あまり山の奥深くという雰囲気ではありません。

しかしそれでも、ここより上には住む人のない、最奥の集落でもあります。

山へと続く道を登っていくと、上条峠で稜線を超え、反対側の平沢地区へと下っていきます。あまり利用機会はないと思いますが、舗装された林道も峠越えして平沢へと続いています。

反対側の玉宮から峠越えして歩いてきたので、再び峠を超えてもどりました。