庄内、夏の味覚 – 魚介編

庄内浜では年間を通して130種以上の魚介類が水揚げされるという。そんな庄内では、四季折々の多彩で新鮮な海の幸が豊富だ。まさに旨いものだらけである。

岩牡蠣

庄内の夏は、なんといっても岩牡蠣だろう。新鮮な岩牡蠣をそのまま、あるいは軽くレモンを絞ってチュルっと口に含むと、磯の香りで満たされる。

庄内の岩牡蠣は大ぶりなので価格はそこそこする。なので、いつもひとつしか食べないが、一度でいいから満足いくまで食べてみたい。貧乏性が抜けなくてなかなか実行に移せないのだが、次に行ったらせめて3個くらいは食べたい。

夏になると、港や道の駅でも岩牡蠣が食べられる。料理屋の半分くらいの価格だが、それでもまあまあいい値段だ。これは観光客価格らしく、海沿いの直売所などではもう少し安く食べられることもあるらしい。

バイ貝

「貝」という漢字は「かい」と読む。これは訓読みだ。では、「貝」の音読みをご存知だろうか? 

「貝」の音読みは「バイ」である。つまり「バイ貝」というのは「貝貝」という意味になってしまうのだ。なので「バイ貝」ではなく「バイ」というのが正しいらしい。でもまあメニューにもよくバイ貝って書いてあるよね。バイじゃわかりにくいし、現代だと別の意味に取られてしまうしね。

貝という名が付けられている貝なので、日本全国に分布している。バイ貝自体にもいくつかの種類があるが、バイ貝の近縁種もバイ貝と呼ばれているし、見た目が似ているだけの貝もバイ貝と呼ばれている。

かつては全国で獲れたバイ貝だが、海洋汚染で激減してしまった。安いバイ貝は外国産の近縁種だ。近年は日本海側で漁獲量が復活していて、富山では多く食べられているらしい。庄内のバイ貝ももちろん天然物である。

渦巻き状の貝殻から、爪楊枝でくるりと身を引き出して口に入れる。コリコリした食感の身を噛みしめると、豊かな旨味と肝の苦味がじわりと広がる。

塩くじら汁

長崎や山口の塩くじらは赤身肉の塩漬けだが、山形や新潟では皮付きの脂身を塩漬けにしている。短冊に切った塩くじらと季節の野菜を汁物に仕立てた塩くじら汁は、暑い夏を乗り切るスタミナ食だ。

塩くじら汁は家庭で食べるもののようで、外食ではなかなか見かけない。とはいえ地元民向けの居酒屋に普通に郷土料理がある庄内だ。探せば食べられる店はある。

居酒屋の大将に塩くじら汁について伺ったことがある。大将が子供の頃はよく食べたが、今ではあまり食べなくなったらしい。とにかく脂っこくて、大将はあまり好きではなかったと言う。以前は夏になると店で出してたが、もうずいぶん前にやめてしまっていた。私が食べてみたいとねだると、脂っこいからやめておけと言う。

初めて食べたのは鶴岡の割烹だった。コースの締めが弁慶めしと塩くじら汁だったのだ。醤油仕立てのその塩くじら汁は、確かにうっすら脂が浮いてはいたものの、脂っこいというほどではなかった。塩くじらは薄切りで、あまり多くは入っていなかった。

塩くじらは安いものではないので、原価削減なのだろうか。それとも脂っこくてなるのを避けるために、上品に仕上げていたのだろうか。

酒田の居酒屋の塩くじら汁は、さらにあっさりしていた。野菜類が多く、塩くじらはわずかしかない。

真夏の真っ盛りに、厚切りの塩くじらがたっぷり入ったギラギラ脂っこい塩くじら汁で、スタミナ付けて暑さを吹き飛ばしてみたい。

自分で作るしかないかなあ。