春の地味山低山歩き – お天気山 / 羽賀場山 / 鳴蟲山

いい天気だ。お天気山に登るには絶好の日和だ。

マイナー山だし登る人もほとんどいないけど、山頂は光が射し込んで明るく、木々の切れ目からは周囲の山の眺望もある。

山名の由来はよくわかっていないようだ。それっぽい説もあるにはあるが、こじつけっぽくもあり後付けっぽくもあり、決め手に欠ける。

道標や山名板には「天久山」や「天強山」という文字も見られたので、もしかしたら天気には関係ないのかもしれない。天久山→天強山→天気山→お天気山と訛ってきただけかもしれない。天久は天狗に通じるのかもしれない。そういえばここまで、天狗の出そうなけっこうな急登を登ってきた。

お天気山から羽賀場山まで縦走する。縦走路といっても道はあってないようなもので、ほぼほぼバリエーションルートだ。とはいえ特別に危険なところがあるわけでも、迷いやすいわけでもないので、そんなに気を張らなくても大丈夫だ。

羽賀場山はなんとも地味で、まったく印象に残らなそうな山だった。まあ、こういう山があるのも、地味低山歩きの醍醐味である。

ここから麓の集落へ下山する。下山路はいちおうちゃんと道になっていた。

それにしても花粉が酷い。花粉症ではないのだけど、これだけ致死量の花粉を浴びると、目が痒くなり鼻水も垂れる。花粉の季節の低山はやっぱりつらい。涙と鼻水でタオルをぐしゃぐしゃにして下山した。

このまま県道を歩いていけば車を停めた集落まで戻れるのだが、もう一山、県道の反対側の鳴蟲山もついでに登っておく。羽賀場山からの下山時に見えていた一番奥の鉄塔のさらに奥の山だ。

最初から鳴蟲山にも登る予定で来てるのだけど、鳴蟲山ピストンの時間を計算に入れてなかったことに気づいた。どうしよう、今から登るとけっこう遅くなってしまう。今日はもう十分に歩いたし、このまま帰ろうか。それともやっぱりせっかくだから登っておこうか。

疲れたからやめたい気持ちと、また来るのがめんどくさい気持ちのせめぎ合いで、また来るのはめんどくさいが勝った。帰りが多少暗くなっても問題ないだろう。最近ずっとサボり気味だったので、ひさしぶりの長時間歩行になる。ひさしぶり過ぎて、なんだかすでに筋肉痛だ。

川を渡り、林道を進み、樹林帯を黙々と登る。思ったよりも遠い。

樹林帯を黙々と歩いて、2時間半で鳴蟲山に到着した。ここも地味な山頂ではあるが、なかなか雰囲気が良い。

山頂でUターンして登ってきた道を下り、林道に下山した。ここで目の前の川を渡れば車を停めた集落は近いのだが、残念ながら2km近く戻らないと橋はない。往復4kmも余分に歩きたくなかったので、どこか渡れそうな場所がないか探してみたら、あった。

広い川幅を横切るようにコンクリートで堰が作られている。その一部が切れていて、川水はそこを流れていく。その1m程度の切れ目を飛び越えれば対岸に渡れる。

しばし考えた。切れ目はこちら側の河岸近くにあり、助走をつける余地がない。疲れた体で荷物を背負って、あそこを飛び越えられるだろうか。一箇所に集められた大量の水が轟音を立てて流れていく。もしも落ちたら、一瞬で急流に飲み込まれるだろう。

しばし悩んだ、悩みに悩んだ。やっぱり、やめておこう。ドボンして流されてびしょ濡れになる未来しか見えない。君子危うきに近寄らずだ。あと1時間余分に歩こう。

薄暗くなった林道を抜けて橋を渡り、薄暗くなった県道を歩いて、車を停めたお天気山の登山口まで帰った。

2026年3月