鹿角ホルモン鍋 – 秋田県 鹿角花輪

尾去沢鉱山が閉山となり、労働者も住民も消えて、街はすっかり寂れてしまった。現在は尾去沢から2km離れた鹿角花輪が、この地域の中心地になる。ここには二軒のホルモン鍋を提供する店がある。

日本各地の鉱山町にはホルモン料理が根付いている。鉱山には朝鮮半島からの労働者が多く集まり、彼らが持ち込んだ肉食文化であるホルモン料理は、過酷な肉体労働を熟せる体力を付けるための、手頃な価格のスタミナ食として最適だった。こうして地域に根付いたホルモン料理は、すでにほとんどの鉱山が閉山してしまった現在でも、その地の料理として愛され続けている。

鹿角のホルモン鍋はジンギスカン鍋を使う。丘状に盛り上がった鍋の中央で、タレに浸かったホルモンを焼く。鍋の周囲には豆腐を並べて、ザク切りキャベツでホルモンに蓋をしたら、後はじっと待つだけだ。

たっぷりのタレとキャベツから出た水分が煮立ち、キャベツがしんなりしたら出来上がり。

ニンニクの効いた甘辛味で、ピリ辛だけど辛味よりも砂糖の甘味とニンニクの旨みが強い。タレの成分は醤油、味噌、砂糖、ニンニク、唐辛子といったところだろう。酒にも合うが、米にもよく合う味付けだ。

ホルモンは豚の小腸がメインで、あとは細かく切ったレバーが少々。念入りに下処理されている。すっきりと洗練された味わいのホルモンに、パンチのある濃厚なタレが絡む。

最後は残ったタレでうどんを茹でて〆となる。

翌日は、花輪にもう一軒あるホルモン鍋の店に行ってみた。

単品の組み合わせではなくセットになっているところが異なるものの、構成要素は昨日の店と同じだ。味も大きくは違わない、ニンニクの効いた甘辛味である。ホルモンが丁寧に下処理されているのも同様だ。

〆はうどんではなく雑炊だった。残ったタレにご飯を投入し、別注文の卵を溶き流して仕上げる。うどんと雑炊、甲乙付け難い。

秋田県内の他の市町村と同様に、鹿角も人工減少が深刻だ。少子高齢化と転出が止まらない。2050年には人口が半減すると予想されていて、消滅可能性自治体にリストアップされている。

鉱山労働者の間で生まれ、閉山後も愛され続けてきた鹿角ホルモン鍋が、花輪の街とともにいつまでも在らんことを願ってやまない。

2026年2月