目指せ!足利百名山 – 赤雪山 / 原仁田ノ頭 / 三角山 / 仙人ヶ岳

薄暗い樹林帯の地味な縦走路を進んでいく。大きなアップダウンもなく、簡単だけど退屈だ。

稜線上の小ピークを通過しようとした時、山名板が目に入った。

ん?なんだろ?こんな地味な小ピーク、というか単なる稜線上のコブに名前なんてあるのか?

近づいて山名板の文字を見た。

足利百名山 NO.115 原仁田ノ頭

足利百名山!そういえば以前にもどこかの山で足利百名山の山名板を見た記憶がある。その時の山も、この原仁田ノ頭という名の付いている稜線上のコブと同様に、稜線上のなんて言うこともない小ピークだった。

それにしても足利百名山、足利市内で百もの名山があるというのだろうか…。

下山後に友人T氏から送られてきた足利百名山マップを見たところ、当然ながら狭い範囲に百名山が密集している。百名山密度では飯能百名山といい勝負だ。市街地にやたらと多くの百名山があるのも気になる。足利市駅周辺にあるのはどんな山なのだろう。ていうか、あのへんに山なんてあったっけ?

T氏によると、足利百名山の選定はまったくの個人活動であり、市役所や観光協会などは一切関わりがないという。ということは、あの山名板も個人で作成して個人で取り付けているのか?その熱量はいったいどこから来るのだろう。

原仁田ノ頭の前に通過した赤雪山も足利百名山だが、山頂には東家があり多少は展望もあって山頂らしい山頂だった。赤雪山は足利百名山であると同時に栃木百名山でもある。

しかし!原仁田ノ頭や、その次に通過した三角山はどうだろうか。山頂というよりはコブである。

足利百名山マップをよく見ると、三角山には107という番号がふってある。原仁田ノ頭は115だ。そういえば山名板にもNO.115とあった。百名山なのに115?

足利の100の山を名山に(個人が)選定したがそれだけでは飽き足らず、さらに30山を新足利百名山として(個人的に)追加して、現在は130の山が足利百名山に(個人により)認定されているのだという。なんという熱量!足利市内に130の名山!しかしその熱い想いをもってしても、足利200名山には届かなかったようだ。無念であろう。

当然ながら三角山にも足利百名山の山名板があるようだが、見つけられなかった。というか最初から探してはいない。ここが百名山だというのは下山してマップを見るまで知らなかったのだ。なにせ稜線上の地味なコブである。知らなければ、サラッと通過してしまう。

仙人ヶ岳は山だ。コブではない、立派な山である。ここまでを振り返ると、実に立派な山に感じる。それもそのはず、仙人ヶ岳も足利百名山なだけではなく、栃木百名山でもあるのだ。さすがに県レベルになると良い山をそろえてくる。

仙人ヶ岳は群馬県との県境にあり、桐生市側からも登ってこれる。数年前にはそちら側から登った。ちなみに足利百名山であり栃木百名山でもある仙人ヶ岳は、群馬百名山ではない…。

山頂にあった手作りの案内表示によると、この先の女仙人ヶ岳というのが見晴らしがよく、せっかくだからそこまで来なよと誘っていた。これは栃木側から登ってきた登山者への群馬側からの誘惑である。以前は群馬側から登ったので行ったことはあるはずだが、まったく覚えていない。時間もあるので群馬の誘惑に乗っかってみることにした。

5分ほどで到着した女仙人ヶ岳は、座ることもできないくらいの狭い山頂だったが、うんまあ確かに見晴らしは悪くはない。

女仙人ヶ岳からは、孫仙人ヶ岳、子仙人ヶ岳、中仙人ヶ岳、前仙人ヶ岳と続いている。以前に登っているはずだが記憶が不確かだ。だが、女仙人ヶ岳からのこの眺めには覚えがある。ここで振り返って、あの山々を超えてきたのだなと思ったのを思い出した。山頂の案内板で仙人家族の名前を知ったのも思い出した。

こうして過去の自分と不意に出会うのは悪くない。なんだか不思議な懐かしさがある。

今回はここまで、折り返して栃木側へ下山する。

6時間の周回で二つの栃木百名山と四つの足利百名山を踏破した。足利130名山完全制覇まで、あといくつだろう。

2025年2月