二日酔いの朝、甲府の山を歩いた話 – 愛宕山 / 夢見山 / 大笠山
甲府市というのは想像以上に縦に長い。北は長野との県境から南は河口湖町までのびている。
イメージ的には甲府駅周辺だけが甲府市で、実際に甲州街道を行くと笛吹市の石和温泉を過ぎて甲府の繁華な街を走ればすぐに甲斐市の竜王に至る。確かに東西の距離は短いが南北にはその7倍ほどの長さがある。
県民でもなければ知らない事実だろう。なぜそんなことに気づいたかといえば、甲府名山の地図を見たからだ。甲府駅前で痛飲した翌朝、前夜の暴飲暴食の負債をいくらかでも返済しようと、帰る前にどこか登れそうな山を探したのだ。
甲府名山には、北は金峰山のある奥秩父から、南は本栖湖近くの五湖山や三方分山まで、25の山が選定されている。25山のうち山梨百名山でもある11山と、それらと尾根でつながる4つの山には登ったことがある。残りは甲府駅周辺の聞いたことのない10の低山だけだ。
やや二日酔い気味でもあり、あまりたくさんは歩きたくないし、あまり標高も上げたくなかったので、駅から最も近い山から登っていくことにした。
駅の北側へ移動して東の方へ歩いていく。正面に見えるのが愛宕山だろう。よしよしあれくらいなら二日酔いでも登れそうだ。
平坦地の端まで行くと道は狭く細くなり、うねうね曲がりながら民家の間を上へと登っていく。
ほんの少しだけど標高が上がると見晴らしが良い。甲府の街を一望できる。こうして見るとなかなかに大きな街だ。
そうして舗装路を登っていくと、大きな駐車場とその奥に立派な科学館がでんと控えていた。どうやらここが愛宕山らしい。
山頂一帯は愛宕山こどもの国として整備されており、国内地図を見ると科学館の他にも公園やキャンプ場があってサイクリングコースで繋がっている。
近隣に住んでいる方が、子供のころに科学館に行ったり免許を取ってからドライブで行ったりはしたが登ったことはないと言っていたが、つまりここは歩いて登る山ではなく車で来るところなのだろう。
科学館の裏手の少し高くなっている場所まで登って、愛宕山には登頂したことにした。
さて、次に目指すのは夢見山という山である。その奥には大笠山という山があり、このニ山も甲府名山ではあるが、こどもの国の国内地図にも載っている。つまりは、まあ、そういうことだ。
まだ朝早くてだれも遊んでいない自由広場の端を登っていく。なぜこんなところにあるのかよくわからない仏塔を眺め、さらに奥へと進んでいく。といっても歩くのはサイクリングロードだ。
サイクリングロードはピークを通過しない。なので、このあたりかなと目星をつけたあたりでサイクリングロードを外れて登る。踏み跡が付いてるから当たってるはずだ。
少し登ると山頂標柱があった。本日二座目の夢見山に登頂。登山してる感はまったく無い。
国内をさらに奥地へ入っていくと大笠山に到着したが、明らかに標識背後の方が高いので、そちらへも登っておく。
ここが最高地点かなと思うところまで行って本日三座目に登頂。
ここからは愛宕山こどもの国の外になるので山っぽくなりそうだ。このまま歩いて反対側へ下山することもできるが、ここまでにして引き返すことにした。
早朝はだれもいなかったが、この時間になると多少の訪問者は来ている。しかし賑わいには程遠く、閑散とした印象は変わらない。
科学館の前までもどり、出国した。これで甲府名山三山が登頂済みとなった。
坂道の路地を下り、市街地へ降りた。
それにしても良い天気だ。雲ひとつ無い。
甲府って良い街だな。ぐるっと山に囲まれて、街のどこからも山が見える。
昨夜は泥酔して街を歩き、良さげな店を何軒も見つけた。夜は甲府で飲み、翌朝は甲府名山に登る。これはなかなか楽しい遊びだ。
甲府名山は残り7、あと何回かはこの遊びができる。
2023年12月