八年前の山と八年後の山 – 茅ヶ岳 / 金ヶ岳

静かな朝だ。空気は透明で空はどこまでも青い。まだだれも登ってこないから贅沢な時間をひとりじめできる。

茅ヶ岳には何回か登っているが、来るのはひさしぶりだ。最後に登ったのはいつだったかと過去の記録を確認すると、七年ぶりの山頂だった。七年前の深田祭の日、バッチ欲しさに登ったのを思い出した。ついこないだのようだが、あれから七年も経ってるのか。

七年前は茅ヶ岳だけで下山したが、まだ時間も早いので金ヶ岳にも行く。

金ヶ岳まで来たのは八年ぶりだった。より正確には八年八ヶ月ぶりだ。

八年八ヶ月前の金ヶ岳、それはこのブログにも時々登場するS子先輩と初めていっしょに登った日だ。あれから八年八ヶ月も経ってるのか。

八年八ヶ月といえば、入学したばかりの小学一年生がまもなく中学を卒業するまでの時間である。S子先輩にはその後も年に何回かは同行していただいており、長きに渡って仲良くしていただいて感謝に堪えない。

なんてことを思うなんて、歳をとったのかな。まあ、八年八ヶ月分の歳はとってるんだけどね。

ばちぼち登山者も姿を現し始めた。混雑しないうちに下山する。茅ヶ岳からの下山路はいつも尾根道にしている。こちらを登る人はほぼいないので、静かに下ることができる。

駆け下るように急いで下山するのは好きではない。下山は静かにゆっくりしたい。山登りは、この最後の時間がとても良いのだ。おだやかで満ち足りて、そして心の奥に隠れていたさまざまな想いが湧き上がってくる。

八年八ヶ月前は茅ヶ岳と金ヶ岳に登った。では、八年八ヶ月後はどうしているのだろう。

現在とはまったく異なるライフスタイルになっているのは確実だ。仕事を辞めて時間の自由ができて、東京に拠点を置いていない可能性も高い。どこへでも行けるだけの自由な時間を手に入れたあとで、果たしてまたこの山に登りに来るだろうか。

そう考えると、今回が最後の登山だったのかもしれない。なんだか切ない気持ちになる。もっともっと大切に登ればよかった。

まあ、人生なんてどこでなにがあるかわかんないのだから、いつだって今この瞬間を大切にしなくちゃいけないんだよね。

2023年12月

 

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